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世界を先導する関西 関西経済、税、納税協会を語る

2020.01.07

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大阪国税局長
榎本直樹
公益財団法人納税協会連合会会長
尾崎 裕

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【司会】
公益財団法人納税協会連合会
常任副会長
新木 敏克

(敬称略)

1 関西経済の展望

新木

 今日は、新春の対談ということですので、関西経済、税、そして、これからの納税協会について、ざっくばらんにお話しいただければと思います。

 さて、我が国経済は、米国の自国第一主義政策、米中貿易摩擦の激化、英国のEU離脱問題、日韓関係の悪化などの不安定要因が多く厳しい状況が続いていますが、研究開発投資や人手不足による省力化投資の増加などを背景に、緩やかな景気回復基調にあります。関西経済も同様に、設備投資の増加などを受けて、緩やかな景気回復傾向にあるようです。

 まずは尾崎会長、このような関西経済の現状と今後の展望について、どのようにお考えでしょうか。

尾崎

日本そして関西の景気・経済は、底堅さを保っています。海外経済の減速によって、昨年の輸出額は前年を下回る結果となっていますが、人手不足を背景とした省力化投資や更新需要のため、企業の設備投資は増加基調にあります。雇用環境が改善を続けており、失業に対する不安も小さい状態です。消費税率の引上げの影響で心配されていた個人消費についても、キャッシュレスポイント還元策など政府の平準化政策が、ある程度個人消費を下支えしており、外需の落ち込みを内需がカバーした恰好となっています。

 また、関西経済をけん引してきたインバウンド需要について、訪日外客数は昨年も堅調さを維持しました。6月に開催された「大阪G20サミット」では、各国首脳が集う国際会議が開催できる都市として、世界中に大阪の魅力を発信することに成功しました。また、ラグビーワールドカップの開催期間中は、世界のラグビーファンが日本そして関西に訪れ、大いに盛り上がりました。中国からの観光客数が堅調に増加していることもあって、日韓関係の悪化で韓国からの観光客数が減少した影響を打ち消しました。

 今年は、東京オリンピックが開催され、関西にも多くの訪日観光客が訪れることが予測されるため、新たな商機を確実につかむことが大切です。中長期的には、うめきた2期の街開き、IRの開業、大阪・関西万博の開催等に向けて、都市開発が本格化しています。また、当地では、数多くの大学・研究機関・企業が集結し、幅広い分野でイノベーションを生み出してきた土壌があり、次世代のものづくり・サービスを創出する機運が高まっています。本年も大阪・関西から日本経済を盛り上げる年になることを期待しています。

新木  榎本局長は、関西経済について、どのようにご覧になっていますか。
榎本

 関西経済の状況については、近畿財務局が発表しております昨年10月の管内経済情勢報告において、「緩やかに拡大しつつある」とされております。

 また、昨年9月に国土交通省が発表した基準地価では、全国の商業地における地価上昇率トップ10のうち、4か所(大阪府:3位、5位、9位、京都府:6位)が関西となるなど、関西経済は堅調に推移しているものと感じております。

 さらに、平成30年度の近畿2府4県の国税収納額を見ますと、平成24年度以降、7年連続の増加となったほか、法人税が1419億円(7・1%)の増収となっており、増収額全体の半分以上(56・1%)を占めております。

 このように、税収面からも、関西経済が堅調であることがうかがえるのではないかと思います。

 話は変わりますが、2019年から2021年にかけて、毎年、世界的なスポーツの大会が日本で開催されることから、この3年間は「ゴールデン・スポーツイヤーズ」と呼ばれているようです。

 昨年のラグビーワールドカップにおける日本代表の大躍進は記憶に新しいところであり、今年はいよいよ東京オリンピックの年となりました。

 さらに、来年は、概ね30歳以上の競技者が参加するワールドマスターズゲームズが関西で開催されるなど、今、スポーツの分野は非常に盛り上がっております。

 また、歴史・文化の分野では、昨年、百舌鳥・古市古墳群(大阪府)が世界遺産として登録されたことにより、近畿2府4県全てが世界遺産を有することとなりました。

 このような、スポーツや歴史・文化といった分野の盛り上がりが、訪日外客数の増加につながり、関西経済に好影響を与えるものと期待しております。

 

2 社会経済情勢の変化と税務行政の対応
新木

 ありがとうございます。次に税務行政について、局長にお伺いいたします。我が国の経済社会の状況は、経済のグローバル化、情報技術の発展、人口減少や少子高齢化、地域格差の拡大などの大きな構造変化の中にあります。

 このような状況の中において、変化する社会経済情勢への対応を常に求められる税の執行官庁として、どのような施策・取組をされておられるのでしょうか。

榎本

 近年、経済活動のICT化や国際化が進展する中、国税組織を取り巻く環境は急速に変化しています。

 このような環境の変化に対応するため、国税庁においては、平成29年6月に、概ね10年先を見据えた、「納税者の利便性の向上」と「課税・徴収の効率化・高度化」を柱とする「税務行政の将来像」を公表し、さらに、昨年6月、2年間の進捗状況を取りまとめた上で、再整理した将来像を公表いたしました。

 「納税者の利便性の向上」に関する本年の取組としましては、スマートフォン・タブレット専用画面を利用した電子申告の利便性の拡大をこの1月から実施し、年末調整手続の簡便化として、電子データにより手続きが行えるソフトの導入を10月から実施する予定としております。

 また、利用者が質問した事項に対してAIが回答するチャットボットについて、令和2年度中に本格運用する予定としており、今後とも、税務手続のデジタル化や、税務相談の効率化・高度化、税務署相談窓口のスマート化など、納税者の皆様が「より便利に、よりスムーズに」申告・納税ができる納税環境を整備してまいります。

 「課税・徴収の効率化・高度化」につきましては、今後、国税庁が保有する情報に加えて、インターネットなどからの情報収集により、保有する情報を充実させていくとともに、これらの電子データを、ICTツールやAIを活用して多角的に分析・検討することにより、国際的租税回避への対応、富裕層に対する適正課税の確保、大口・悪質事案への対応といった重点課題に的確に取り組んでまいります。

 さて、間もなく、令和元年分の確定申告の時期を迎えます。

 本年の確定申告におきましては、先ほども申し上げましたが、「税務行政の将来像」で公表しておりますとおり、この1月から、スマートフォン等専用画面を利用して所得税等の確定申告書が作成できる対象者が大幅に拡大されたほか、1月末からマイナンバーカード読み取り対応のスマートフォンを利用して確定申告書をマイナンバーカードによってe─Taxで送信できるようになります。

 このように、納税者の皆様が申告会場等に出向かなくても、ご自宅などから申告できるよう、環境の整備に努めておりますので、是非、ご利用いただきますよう、よろしくお願いいたします。

新木  尾崎会長、納税協会会長として、税務行政に対する要望がありましたら、お願いします。
尾崎

 税務当局においては、スマートフォン・タブレットによる電子申告が始まり利用可能な手続きが順次拡大されるなど、ICTの活用によって、納税者の利便性が向上するとともに、課税・徴収の効率化・高度化に取り組んでおられます。引き続き納税者の視点で使い勝手の良い改善が図られますことをご期待申し上げます。

 昨年10月には消費税率が引き上げられましたが、国及び地方の財政はますます悪化し、本年度末の長期債務残高は、1122兆円に達すると予測されています。政府の基礎的財政収支を黒字化するという財政健全化目標も、2020年から2025年へと先送りされました。

 限られた財源を真に必要な目的に重点的に投入するとともに徹底した行政改革により財政支出の削減を図る必要があります。私どもが毎年発出している「税制改正要望書」に記載のとおり、政府には、問題を先送りすることなく、中長期的な展望を示した上で、安定的かつ持続的な経済成長を可能とする財政健全化に取り組んでいただきたいと思います。また、企業の国際競争力、技術力を高めるとともに経済全般の活性化が図れる税制を構築いただきたいと存じます。

 その中で、大阪国税局様をはじめ、税務当局におかれましては、引き続き税務行政を「公平」かつ「適正」に運用していただき、税に対する納税者の理解と信頼を高めていただくようお願いいたします。
3 納税協会の活動について
新木

 納税協会では、税に関する公益法人として、昨年の消費税率引上げとともに導入された軽減税率制度に係る税法説明会や租税教室の開催など、公益目的事業の推進に積極的に取り組んでおります。

 また、税の啓蒙活動や相談業務を通じて、地域に根ざした活動を展開しており、会員をはじめ納税者の方々に対しては、きめ細かな対応をすることで、より良いサービスの提供に努めています。次代を担う青年部会の活動にも力を入れており、納税協会連合会青年部会連絡協議会を中核として更なる活性化を図ることとしております。

 尾崎会長、新たな年を迎えて、納税協会及び連合会の今後の活動について、どのようにお考えでしょうか。

尾崎  昨年10月に導入された消費税軽減税率制度については、各納税協会において数多くの説明会を実施してまいりました。本年は区分記載など軽減税率制度の定着に向けて、税務当局と連携を図りながら、各種事業に取り組んでいくこととしています。

 また、昨年11月19日に開催した「納税協会青年の集い」奈良大会では、各地の青年部会員が「租税教育活動」の発表を行いました。この集いには榎本局長様をはじめ、国税局各部長の皆様、奈良県下の4つの税務署の署長にもご出席いただき誠にありがとうございました。租税教室の開催は納税協会が最も力を入れて取り組んでいる事業の一つでございます。互いの活動内容を知ることで、青年部会全体の活性化につなげることができたことから、今後も継続して実施することとしています。

 さらに、生徒・児童に対する租税教育の一環として、昨年の11月11日からの7日間「税を考える週間」において、キッザニア甲子園に税務署パビリオンを出展しました。子どもたちに税務職員や税務広報官として、消費税調査と税務広報の仕事を体験してもらうとともに、税金クイズラリー等を実施しました。租税教育の新たな手法として、納税協会が進める租税教育への取組姿勢や、納税協会そのもののPRにもつながったものと考えております。

 私ども納税協会及び納税協会連合会といたしましては、税に関する公益法人として、設立当初から掲げる「適正な申告納税の推進と納税道義の高揚を図り、税務行政の円滑な執行に寄与し、企業及び地域社会の発展に貢献する」という基本理念にのっとり、関係団体との連携・協調を密に、社会環境の変化に対応した公益性の高い事業を展開してまいります。また、会員の皆様、並びに地域の方々のご意見・ご要望に真摯に耳を傾け、地に足の着いた活動を引き続き行ってまいりますので、大阪国税局様をはじめ関係各位のご支援をお願いいたします。
新木  榎本局長、納税協会に対するご意見、ご提言等がございましたら、お聞かせください。
榎本

 納税協会におかれましては、税知識の普及、適正な申告の推進及び納税道義の高揚を図るという目的を掲げて、私どもと同じ志を持って事業活動を展開され、長きにわたりご尽力いただいており、大変心強い存在であると感じております。

 特に、納税協会の部会の中でも、青年部会は、協会活動の中核となって、各種研修会や講演会の開催など、活発な事業活動を行っていただいておられ、昨年11月に奈良県で開催された「納税協会青年の集い」には私も参加させていただきました。

 多くの方々とお話をさせていただきましたが、租税教育の推進や地域社会の発展に対する青年部会の皆様の並々ならぬ熱意を感じ、大変頼もしく感じた次第です。

 今後も、新たな視点や斬新なアイデア、実現に向けた行動力を持つ青年部会が中心となって、魅力ある事業活動に取り組まれ、組織をけん引していかれることを期待しております。

 私どもとしましても、納税協会の皆様とは、各種説明会や講演会といった事業活動を通じて、税務行政の良き理解者、良きパートナーとして、これまで以上により良い連携・協調関係を築いていきたいと考えておりますので、今後とも、税務行政の円滑な執行に対する一層のご支援・ご協力をお願いするとともに、事業を活発に展開され、企業経営及び地域社会の発展に貢献されますことを期待しております。

4 雑感
新木

 新春ですので、今年の抱負などをお聞きしたいと思います。局長は、今年はどのような年にしたいとお考えですか。

榎本  国税庁の使命は、「納税者の自発的な納税義務の履行を適正かつ円滑に実現する」ことであり、そのためには、納税者の皆様の税務行政に対する理解と信頼が不可欠です。

 このため、引き続き、納税者サービスの充実に取り組むとともに、悪質な納税者や滞納者に対しては、厳正に対応することで、国民の皆様から信頼される組織となるよう努めてまいります。

 また、昨年10月1日に消費税の軽減税率制度が導入されてから、3か月が経過しました。これまでも、説明会の開催など、制度の周知・広報に取り組んでまいりましたが、軽減税率制度導入後、初めての確定申告となりますので、引き続き、制度の定着に向け、相談の対応などに取り組んでまいります。

 納税協会の皆様方におかれましても、引き続き、軽減税率制度の周知・広報にご理解とご協力をいただきますようよろしくお願いいたします。

 さて、昨年5月に元号が改められ、令和初の新春を迎えました。元号が閣議決定された際に、「令和」は、厳しい寒さの後に春の訪れを告げ、見事に咲き誇る梅の花のように、明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせることができる日本でありたいとの願いを込め決定したとの内閣総理大臣談話が発表されました。

 納税協会におかれましても、新しい時代とともに、今後益々ご繁栄されることを期待しております。

新木  尾崎会長は、どのような年にしたいとお思いですか。
尾崎

 株式相場では、ネズミが子沢山であることから、「子(ね)は繁栄」という格言があり、そのとおり、経済も好調であることを願います。一方で、前回の子年である2008年はリーマン・ショックが発生し、世界は金融危機に陥りました。12年後の今になっても、先進国の政策金利は歴史的に低い水準で、マイナス金利政策も定着しています。投資の運用難からハイリスクな金融商品に資金が集まる傾向が見られ、世界の金融市場の動向にも引き続き注視したいと思います。

 税制については、2度にわたって延期していた消費税率の引上げが昨年実施され、「税と社会保障の一体改革」を中長期的に熟考する時期となります。また、大阪・関西万博のコンセプトである「未来社会の実験場」を実現するためにも、新規ビジネスへの投資や事業承継において、新たな税制枠組みを導入し、企業がチャレンジしやすい環境を整える手助けに努めてまいります。

 私ども納税協会も、これからの日本社会を支える企業を、税務にかかわる側面からご支援することを通じて、関西ひいては日本経済の発展に引き続き貢献してまいります。

新木

 本日はお忙しいところ、大変有意義なお話を伺うことができました。

 今年も、納税協会連合会は、納税協会とともに会員の皆様が加入して良かったと思っていただけるような、魅力ある事業活動ができるよう努力してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 本当にありがとうございました。

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