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トピックス
着任インタビュー
大阪国税局長 岡本 佳郎氏


【聞き手】
(財)納税協会連合会
常任副会長
吉田 實男
(平成19年8月3日収録)
大阪国税局長 岡本 佳郎氏
Okamoto Yoshiro
【岡本 佳郎氏の略歴】
昭和28年生まれ 山口県出身
昭和51年東京大学法学部卒業
昭和51年大蔵省入省
平成15年広島国税局長
平成16年国税庁 長官官房審議官
平成18年国税庁 課税部長

◎まずは納税者の信頼確保を図ること

吉田 ご着任おめでとうございます。最初に、大阪国税局長にご就任されての抱負を、お聞かせいただけますでしょうか。  

岡本 私は、大阪での勤務は初めてになりますので、なるべく第一線で納税者の皆様方と接している職員の声を聞き、実情をよく把握した上で、しっかりと事務運営の舵取りをしていきたいと思っております。
 また、大阪国税局は、非常に良き伝統があり、一方で活気に溢れ、ユニークな発想が数多く生まれる国税局であるという印象を持っております。今後の事務運営に当たっては、納税者の皆様方のご意見やご要望をお聞きし、大阪国税局の特色を生かした質のよいサービスを提供するとともに、適正・公平な課税の実現を図るための各種施策を講じていきたいと考えております。
 そのためには、納税者の皆様方のご理解とご協力、そして何よりも税務行政への信頼を確保していくことが必要不可欠であると考えており、着任早々の職員へのあいさつをはじめ、各種会議の冒頭で必ずこのことを話しております。
 これは、職員のみならず、私自身の課題であると考えております。これまでも我々の先輩方は様々な困難な局面を乗り越え、納税者の皆様方からの信頼を確保してくれました。そのバトンを私たちが受け継いだのですから、ここで大きく崩してしまうわけにはいかないと感じています。脇を固め、しっかりと気を引き締めていきたいと思います。
 その上で、様々な施策をなるべく自由闊達に議論し、納税者の皆様方からのご意見を伺いながら進めていきたいと考えております。 

吉田 ありがとうございます。税務行政をサポートする立場の納税協会においても、納税者の声というものは、やはり大切だなと常々感じています。

岡本 そういう点からも、納税協会の役割は大変重要であると思います。納税協会からの意見が納税者の皆様方の代表としての声ということにもなりますので、従来にも増して、率直な意見をお寄せいただくようお願いいたします。

吉田 承知しました。


◎関西の経済と文化を大いに学びたい

吉田 次に関西の経済・文化についてのご感想、ご期待、あるいは、関西に対するご提言をお聞かせいただければと思います。

岡本 冒頭でも申し上げましたが、私は、大阪での勤務は初めてであり、これから様々な経済活動やその奥にある文化的な流れ、そういうものに時間の許す限り、身近に触れてみたいというのが率直な気持ちです。
 関西の経済や文化は、日本国内で非常に大きなウエイトを占め、むしろ文化的には関西が発信源となっているものが多く、このような点を様々な分野で生かしているところが関西の強みであると感じております。
 先日発表された2007年6月の日銀短観では、関西地区の景況感を示す業況判断指数は全産業で全国指数を上回っているとのことであり、さらに2007年度の設備投資計画及び売上高ともに増加する見込みであると聞いております。
 特に設備投資計画は、前年度比13.2%増加の見通しで、全国の3.1%を10ポイントも上回っており、大企業を中心に工場の新設が相次いでおります。
 また、関西では、一芸に秀でたと言いますか、ある分野において世界のトップクラスの技術を持った中小企業も多いと聞いております。これも関西経済の特徴のひとつではないでしょうか。
 関西と言いましても一くくりではなく、各府県にそれぞれの特色があります。その特色や個性を生かし、国内のみならず世界へ打って出るという気概を持った企業が数多く現れると、関西経済は益々の発展を遂げるのではないかと思います。関西にはそれだけの地盤が備わっていると思いますので、今後の更なる発展を期待しております。 

吉田 納税協会連合会が発行しています「納税月報」に「メーカー探訪」、「めざせ!オンリーワン」、「会長訪問」の記事を掲載していますが、局長のおっしゃる本当に素晴らしい企業がたくさんあります。ぜひご覧いただきたいと思います。


◎我が国の財政について

吉田 次に、我が国の財政について、現状を簡単にご説明いただき、局長のお立場からのご意見を伺いたいと思います。

岡本
 我が国の財政状況については、平成19年度の一般会計予算における歳出が約83兆円となっておりますが、予算における歳入のうち、税収でまかなわれているのは六割強にすぎず、約3割を公債金収入に依存している状況であります。
 また、公債の残高をみますと、平成19年度末では547兆円に上ると見込まれており、これは税収の約10年分に相当し、将来世代に大きな負担を残すこととなります。そういう中で我々も歳入官庁として、責任を持って当面の課題に取り組んでいかなければならないと考えております。
 今後の展望ということでは、国民所得に対する租税負担と社会保障負担の割合の合計である国民負担率は、主要先進国の中で低水準であり、今後、少子高齢化が進む中、現行制度を前提とすれば、将来世代の負担が大きくなることが見込まれます。
 こうした状況を踏まえますと、財政健全化を着実に進めていかなければならないと思います。税制については、我が国の21世紀における社会経済構造の変化に対応し、各税目が果たすべき役割を見据えた税体系全体のあり方について検討を行い、中長期的な視点からの総合的な税制改革を推進していく必要があると考えております。
 この点については、現状を踏まえた検討が行われ、適切な対応策、方針が出され、納税協会の皆様方にも、様々な資料・データ等を基に、ご説明させていただく機会があるのではないかと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

吉田 ありがとうございます。


◎e-Taxの普及拡大に全力を挙げる

吉田
 税務行政における当面の課題、運営方針についてお聞かせください。

岡本 全国的に進めている国税電子申告・納税システム(e-Tax)の普及拡大が当面の課題になろうかと思います。
 この取組は、政府全体で電子政府を推進していくという動きに沿った施策であり、将来的に利用割合を50%に持っていくことを目標としております。平成18年度の目標であった2%は、皆様方のご支援、ご協力もあってクリアできましたので、平成19年度の目標は3%となっておりますが、その先、平成20年度の目標である8%の前倒しでの達成を見据えて、取り組んでいこうと検討しております。
 このe-Taxは、納税者の利便性の向上を図るとともに、我々の事務の簡素・効率化、行政のスリム化を図るシステムであります。このため、皆様方からいただいたご意見を基に、順次、利用環境の整備を図っております。
 具体的には、(1)納税者利便の向上の観点から第三者作成の添付書類そのものの送付不要 (2)税理士等が納税者の依頼を受けて税務書類を作成し電子申告を行う場合の納税者本人の電子署名の省略 (3)e-Taxを利用した還付申告書についての処理期間の短縮 (4)電子証明書を有する個人の電子申告に係る所得税額の特別控除(5千円)の創設などが挙げられます。
 今年度もe-Taxが納税者の皆様方に理解され、多くの方々にご利用いただけるよう、汗をかいていきたいと思っておりますので、納税協会の皆様方にも一層のご支援をいただくようお願い申し上げます。

吉田
 納税協会としましても、この十九年度の事業計画の中で、重点課題としてe-Taxの推進をうたっています。具体的な施策としましては、83協会すべてに、推進委員会を設置し、e-Taxを体験できるパソコンを配備するとともに、研修チームをつくり、各協会のニーズに対応できるようにしました。早期にこれらをうまく機能させることができればと考えています。

岡本 納税協会では、早くからe-Taxの普及活動に取り組んでいただいていると聞いています。引き続き、二人三脚で納税協会の皆様方と普及に努めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

吉田
 こちらこそ、ご指導よろしくお願いいたします。


◎重要性が高まる納税協会の公益活動


吉田
 さて、昨年6月に公益法人制度改革関連三法が公布されました。納税協会及び連合会におきましては、そろって公益法人の認定を受けることを理事会において決議し、現在、その準備に取り組んでいるところです。また、次世代を担う青年部会活動にも力を入れており、11月13日には、「納税協会青年部会の集い」を開催する予定としています。
 納税協会への注文・期待等がございましたら、お聞かせください。

岡本 公益法人制度改革により、現行の公益法人の設立に係る許可主義が改められ、法人格の取得と公益性の判断が分離されました。
 これにより、公益性の有無に関わらず、準則主義(登記)により簡便に設立できる一般的な非営利法人制度が創設されるとともに、各官庁が裁量により公益法人の設立許可等を行う主務官庁制を見直し、民間有識者からなる委員会の意見に基づき、一般的な非営利法人について目的、事業等の公益性を判断する仕組みが創設されることとなります。
 納税協会では、新制度における公益認定を受けることを機関決定され、今後、定款・寄付行為及び諸規程の整備や認定申請上必要な書類の準備を進められると聞いております。
 特に新しい公益法人制度の下で公益認定を受けるためには、会員以外の方に対する事業活動を充実させることが重要なポイントとなってきます。そういう中で、先ほど申し上げたe-Taxの普及を広く納税者に働きかける活動は有効であり、租税教室や租税教育の推進も重要なテーマになるのではないかと思います。
 このような事業活動を活発に展開されるためには、青年部会の活性化が不可欠なものとなってくるのではないでしょうか。各納税協会におかれましても青年部会を中心とした各種行事を展開されるなど、活性化に取り組まれていると聞いておりますが、事業活動の実施に当たっては我々も協力していきたいと考えておりますので、遠慮なくおっしゃっていただくようお願いいたします。
 また、納税者の立場ということで、辛口のご提言なり、ご指摘なりということを遠慮なくお話しいただくことが、より良い税務行政を築く糧になると思いますので、よろしくお願いいたします。

吉田
 ご配慮、ありがとうございます。


◎心身ともに健康であることが肝要


吉田
 最後に、局長のお仕事をする上でのモットー、ポリシーがございましたら、お聞かせいただきたいのですが。

岡本
 モットーというほどではないのですが、今までこういうことに心掛けてきたという意味で言いますと、「よく遊び、よく学ぶ」ということでしょうか。
 「よく学ぶ」ということ、すなわち勉強や仕事も大事だけれども、「よく遊ぶ」というか、余裕を持って生活する、人生を楽しむ、そういうことも大切であると教えられ、知らず知らずに自分が仕事に取り組む上での一つの考え方になっているような気がします。
 余裕を持って生活するという点では、やはり、健康であることが一番だと思いますので、機会あるごとに職員へ健康管理について話をしております。健康でなければ、しっかりとした仕事や判断も出来ません。自分自身が健康であることで、はじめて周りに対する気配りや心配りができ、良識的な判断ができると思います。
 健康を維持するためには、休日は仕事を忘れ、趣味や家族と過ごす時間を持ち、リフレッシュすることが必要ではないでしょうか。
 これは、私の30年を超える役人生活において、いつの間にか実践してきたことであります。

吉田
 健康ということは、大事なことだと思います。私は、特に心の健康に気を遣って、意識している言葉があります。これは、ある納税協会長に教えていただいたのですが、人生の三感王を目指せということです。三感とは何かといいますと、感心、感動、感謝を忘れないということです。

岡本 それはいいですね。私も是非、参考にさせていただきます。
 我々の仕事も、もちろん納税協会の会員の皆様方のお仕事も、短距離走ではなく、長いマラソンのようなものだと思います。自分自身で心身ともにベストなコンディションをいかに長く保つかということが、人生の総合評価では一番大事なところではないのでしょうか。

吉田 私どもは、健全な納税者の団体であり、会員さんがおられての納税協会であります。そのために、局長が先ほどお話になったように、納税者、納税協会の会員さんに喜んでいただけるような事業を行っていかなければいけないと、常々思っているところです。

岡本
 大阪国税局としても、応援させていただきますので、何なりとおっしゃっていただきたいと思います。

吉田 大変心強いお言葉をいただき、会員の皆さんも喜ばれることと思います。
 今日はお忙しいところ、ありがとうございました。




(納税月報 2007年10月号より)