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■産学共同で大切な研究者の資質
私は、愛媛県の中学校を卒業後、15歳で大阪に出てきて靴下業界に入りました。小学校では神童と言われ、学校では先生がもう勉強せんでよろしい、後ろに立っていなさいと、得意な学科はほとんど廊下に出てやっていました。(笑い)
ところが、この頃、日本人はむずかしいことばかり勉強して、自分ができる可能性のあるものをなくしてしまう傾向にある。「道は近きにあり、ことは易きにあり」です。
産学共同についても、1ミリの穴が1メートルの大きさくらいの穴に見えるというものができたというので、それで学校と企業とが組んでやったらどうかと話がきた。靴下というのはつま先を縫うのに非常に手間がかかります。私が丁稚している時は全部「かがり」といっていちいち拾っていったのですが、このつま先を縫うのを現在は全部ミシンで縫うのでぬい山ができてしまう。だから商品の質がどんどん落ちていっている。そういう中で私はずっと考えていました。それを立命館大学がやってくれるというので行きました。
産学共同で一番大事なことは、大学の先生の幅です。研究者、学者というのは、基本的に頑なです。立命館の川村教授というのは、非常に幅があった。だから言いたいことを言いました。「先生、私はこんなことがやりたい」と。先生が「それはちょっとむずかしいな」と言えば、「知識ないですな。もっと研究しておくんなはれや」と。川村教授は私のことを「この方は自分では何もわからないし、できないくせに人にはぼろかすに言う人です」と言っていますが、中小企業の社長はそれでいいんです。
■志を持ち大学の門を叩けば、夢を現実化できる
夢をみたらよろしい。こういうことがしたいという時に、頭のいい人は頭を使ったらいい。頭の悪い人は人の力を借りたらいいんです。今の日本の工学は、私たちが考える程度のことだったら、夢のようなことだって簡単に解決してくれると思います。
たとえば靴下業界は、今、中国の安い輸入商品がどんどん入ってきていて、奈良県等の工場がつぶれていっています。中国製品に負けるというのは人件費の問題だけなんです。今から10年ほど前に上海に工場をつくった時は、人件費は4800円余、今年で1万2600円です。そしたら中国人10人と日本人1人で戦えばいい。そして消費地が身近にあるんです。
私は京都のある工場で10人から12、3人かかる作業工程を細かく説明し、機械化できないかという話をした。1年余でやってくれました。もっと精巧な機械をつくった。私らの言う程度のことだったら簡単なものです。志が大切なのです。
■大阪の商売人の誇りで飛び込む
むずかしく考えるからいけない。ましてや大阪の商売人、事業家はもっと元気を出さなければいけない。数年前に日本がエコノミックアニマルといわれた時の、大阪の商人は世界の列強相手に戦っていた。大阪の商人というのはそれくらいの戦闘力がありました。大阪の商人が売れないと言うのは恥ずかしいことです。やる気があるかどうかの問題です。もうちょっと大阪の商人らしい誇りを持たないといけない。
イギリスに店を出す時、英語が話せる社員を募集しました。その面接の時、「私は中学校の時に、英語の先生に教えてもらったボーイズビーアンビシャス。その確かな発音の仕方を教えてくれるか」と聞いたんです。そしたら小さな声で「''Boys
be ambitious'' です」と言うので、私は「聞こえん」と何度も言わせた。最後は泣いて帰った。手紙が来ました。「社長の質問で私は採用されないということがよくわかりました」と。
英語が話せるかどうかは属性の問題です。知識とか技術とかは属性の問題であって人間のやる気という本気が大切なんです。
■やる気があったら何でもできる
もっと誇りを、闘志を持つべきです。われわれの人生は夢、ロマンです。夢も理想も何もない日常の中で、ただあたふたとお金を求めるようなことだけをしているからいけない。
観音様は人間が困った時、数万の姿をして助けにくるといいます。ある時はお父さん、お母さんとか、ご兄弟とかお友達、いろんな姿に変身してくるといいます。考えてみればコンピュータだって、機械だってそうです。いろいろな会社がつくってくれる。それをわれわれがどう組み合わせるかだけの問題です。
今の日本で私もそうですが、100億や200億の、潜水艦のような商売をしていたら、世の中の景気は全然関係ありません。せめて波の下から出ないことには世間の風はあたりません。ですから景気がいいとか悪いとか言うのがおかしい。やる気があったら何でもできます。もっと根本に戻って、迷路に入るのではなく、道は近くにあります。気がついていないだけです。もっと積極的に生きるべきだと思います。
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