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■進出の目的を明快に
私どもの会社はクリーン、グローバルをモットーに、国内の使用済み家電製品、OA機器、産業機械を輸出し、海外で再生して販売しています。家電、OA機器のリサイクル法、そして来年には自動車のリサイクル法が施行されますが、これらは国内では消費者の費用負担の上に成り立っています。かといって処理業者も決して儲かっているわけではありません。そこで海外で事業展開をすれば消費者、事業者ともにいいのではないかということで、国内で集めた商品をほとんど経費をかけずに全部海外へ持ち込み、修理、あるいは部品取りして他はスクラップにするなど分別します。海外へ送るためにはバーゼル法とか国際法など、いろいろクリアしなければならない問題も多くあります。
グローバル展開というのはおもしろいのですが、非常にリスクも大きく問題もたくさんあります。基本的な問題では、まず大企業と中小企業ではグローバル展開といってもまったく違います。これを履き違えると、大変な間違いが起きかねません。もう1つ、海外進出にあたって何が大切かというと、進出の目的が明快であるということです。しっかり目標を見極めた展開をしていると、必ず先が見えてきます。
■どんなリスクがあるのか知っておく
リスクについては政治的、経済的、社会的リスクといろいろありますが、全部クリアすることは到底無理で、こういうこともあるということを念頭においてほしいと思います。
まず政治的リスクですが、中国、シンガポール、タイ、ベトナムといろいろな国で事業展開してきましたが、各国とも政治的リスクはあります。たとえば中国では北京政府と各省で法律の運用が違い、上海と大連での解釈がまったく異なるというのも珍しくありません。また、バンコク周辺には大きなコンテナを揚げる港が3つありますが、ここの港で揚げたら40%、向こうだと17%と、関税が違う。日本では考えられないことがあります。
次に経済的リスクですが、一部政治的リスクにも関わってきます。たとえば中国での許認可制度。中国で会社や支店をつくるという時、登記はすぐにでき一見簡単そうですが、実際に営業をする段になると、何で警察に、何でこんな部署に書類を出す必要があるのかというくらい大変です。もう1つ、売掛金の回収が日本と違って並大抵ではありません。また、中国の場合、通貨・元の切上げが迫ってきています。この辺の見極めも必要でしょう。
次の社会的リスクというのは大変悩ましい問題で、文化、歴史の違いをも含んでおり、特に最近思うのは愛国心です。タイ、フィリピン、シンガポール、どこの国も非常に愛国心が強く、注意をしておかないと、ちょっとした言葉の行き違いで大変なことになります。
それから習慣の違いがあります。中国でコンテナに荷を積む時に中国の人の立会いがあるのですが、昼になって、その方に従業員と同じように弁当とペットボトルのお茶を出した。ところが全然手をつけない。なぜかというと中国では朝・昼・晩と温かいものを食べます。冷たいものは粗末なものと感じているんです。そんなことで激論になりましたが、習慣の違いというのは大変怖いと思いました。
経営的なリスクですが、大企業等ではリスクマネージメントのセクションを設けて対応しています。しかしリスクマネージメントは新規事業の場合は事業の積極的な芽を摘んでしまうことにもなり、ある程度で止めておいたほうがいい。その代わり進出が決まったら徹底的にする。ですからリスクマネージメントは後追いでもいいと思います。
■情報は自分の頭と足を使って集める
大切なことは事業計画です。事業計画も中長期と立てますが、特に重要なのは長期の事業計画です。その上で短期事業計画を立てます。事業を始めたら足元から次々に変更を余儀なくされますから、足元をきっちり固めておくことが必要なのです。
事業計画を立てる際に不可欠なのが情報です。今は情報が溢れています。財務省、ジェトロ、インターネットと、積極的に取ろうとすれば情報はどんどん入ってきます。しかしこれらの情報はほとんどが大企業、あるいはそれに近い企業を中心に考えられています。結局、自分の頭と足を使って集めないといい情報は得られません。
またIT化というのは絶対必要です。それと人脈です。中国ではコネがあるのとないのとでは雲泥の差があります。人脈を如何に育てていくか、日頃の精進がこの辺に現れます。
最後に、海外へ進出するのにどこに相談に行けばいいかというと、やはり当事国の領事館の商事部、商工部、あるいはジェトロ(日本貿易振興会)、また中国であれば日中経済貿易センター等々ありますが、最後に決断を下すのは経営者自身です。 |