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「Tax View」は、武田隆二氏(大阪学院大学教授)、田中治氏(大阪府立大学教授)、八ツ尾順一氏(公認会計士・税理士)の交代執筆です。
平成13年5月25日に衆議院において税理士法の一部を改正する法律が可決成立した。
税理士法人制度の創設、試験科目免除制度の見直し、税務訴訟における出廷陳述権の確保などの大きな改正の陰に、「許可公認会計士制度の廃止」も同時に行われた。許可公認会計士制度そのものについては、あまり知られていない制度であるために、廃止そのものについては、その当事者である公認会計士以外の者は、それほど関心を示していない。
話を進めるために、簡単にこの制度を紹介しよう。許可公認会計士制度とは、公認会計士が、小規模の範囲(継続関与先10件、個人の場合は20件)内では税理士会に登録入会することなく税理士業務を行える制度をいい、昭和55年に、それまで税理士会に入会することなく規模に関わらず税理士業務ができた「通知公認会計士制度」が廃止される代わりに新設された制度である。ちなみに、通知公認会計士制度は、昭和33年の税理士法改正(税理士会の強制加入の法制化)の際に設けられたものである。実質的にみれば、昭和55年の通知公認会計士制度が廃止されたときに、公認会計士の特権(privilege)は既に喪失したと考えるべきなのであろうが、公認会計士協会は、今回の許可公認会計士制度の廃止を必死で食い止めようとしたらしい。
何故に、あまり意味のない(?)許可公認会計士制度の存続にこだわるのか(この制度を利用している公認会計士の数は限られている)。会計の専門家である公認会計士のプライドがその背景にあると窺える。法律の専門家である弁護士は、弁護士法3条2項で「弁護士は当然、弁理士及び税理士の事務を行うことができる」と定められていることからも、通知弁護士制度が存置する。弁護士に通知弁護士制度を認めているのに、何故に公認会計士にそれを認めないのか、という不満が公認会計士側にある。許可公認会計士制度にこだわることなく、立法論として、公認会計士法2条に「税理士業務ができる」と加えて、むしろ通知公認会計士制度を復活させるべきであるとの強硬意見もある。公認会計士側は、税理士業務について、弁護士との不平等な取扱いにひどくプライドを傷つけられたのであろう。
もっとも、税理士法3条では、弁護士及び公認会計士は、共に有資格者と定めているのであるから、税理士会に登録入会すれば、公認会計士は、税理士業務を行うことができるのであり、通知とか許可制度は、実質的にあまり深刻な問題ではないのかもしれない。
ところで、税理士制度そのものがないアメリカでは、低所得者の申告業務を対象としたブロック社という会計事務所が、急成長しているといわれている。もちろん、ブロック社には、弁護士・公認会計士などの資格を有している者はいない。ほとんどの職員は1月から4月の確定申告の時期に、パートとして雇われた者である。短期間に税務のトレーニングを受けて、税務相談や申告業務等を行っているのである。年金生活者や外国労働者などを相手にしていることから、低料金である(もちろん、所得の高い人々は、弁護士や公認会計士に高い報酬を払って申告を依頼している)。
規制を緩和させていこうという流れから、日本も将来的には、税理士制度そのものが今の状態(資格制度)で続くとは限らない。アメリカのように、税理士業務に規制(資格要件)が加えられなくなるかもしれない。国税当局による税務行政の管理一元化からすれば、税理士制度を廃止することなど、とんでもないことかもしれないが、それを利用する国民(納税者)の側からすれば、あながち反対することでもない。規制緩和が、自己責任を求めるものであるならば、国民(納税者)は、自己責任の下で、certificateの有無にかかわらず、自分に最も適した「税務相談・申告業務」を行う者を選択することになる。
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