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会長訪問

良いものは時代を超えて輝き続ける
酒造りにおいても「不変の美」を貫く

 

芦屋納税協会 会長
剣菱酒造株式会社 代表取締役社長

白樫 達也(しらかし たつや)氏

昭和21年5月京都市生まれ。甲南大学経営学部卒業。(株)島津製作所を経て、昭和52年7月剣菱酒造(株)に入社。平成6年7月現職に就任する。灘五郷酒造組合理事長、兵庫県酒造組合連合会理事、日本酒造組合中央会理事などを務める。芦屋納税協会会長は平成17年5月より。

 
剣菱酒造株式会社

創  業/永正2年(1505年)以前
設  立/昭和24年12月14日
資本金/2,100万円
従業員数/54名(平成22年1月1日現在)
事業内容/日本酒の製造




大学時代、古跡に目覚める

   

お休みの日はどのように過ごされることが多いですか。

   
   日本の古いものが好きで、以前は京都や奈良のお寺などをよく訪ね歩いていました。大学時代、京都出身だった私は友人たちからしばしば京都案内を頼まれ、ありきたりの所では面白くないだろうとあれこれ調べたのが、古跡に興味を持ったきっかけです。気持ちがゆったりとすると同時に背筋が伸びる思いがする・・・。これが古いものと向き合う魅力だと思います。
   
特にお好きな場所はどこですか。
   
   京都では、龍安寺や大徳寺の石庭が好きですね。どちらも今では名前が知られていますが、当時は穴場的存在で人もまばらでした。また、仏像では奈良・興福寺の阿修羅像が一番好きです。こちらも昨年の東京国立博物館での展示をはじめ、すっかり有名になってしまいました。自分が見つけたお気に入りが広く認められるようになるのは、嬉しい反面ちょっと寂しいものです。有名になると人が増え、以前のようにゆっくり拝観することも叶いません。そういうこともあって最近は足が遠のきがちで、休みの日は家で休養することが増えています(笑)。
   
新しい穴場を見つけなければいけませんね。
   
   そういう意味で言うと、京都の正伝寺はまだあまり知られていないのではないでしょうか。比叡山を借景とした枯山水の庭は円通寺が有名ですが、ここの庭もなかなかのものです。



不変であることの誇りと信念
   
次に、座右の銘を教えてください。
   
   「古今第一トス」が、当社の信念であり私の座右の銘です。これは江戸時代の末期に発行された「近世風俗史」の中に、剣菱の商標と共に記された文字で、「昔も今も一番良い酒である」という意味です。私たちはこの「一番良い酒」を「一番評判の良い酒」と捉えており、「昔も今も一番評判の良い酒」を造り続けるために、日々、技と感性を磨いています。
   
「一番評判の良い酒」を造り続けるには何が大切だとお考えですか。
   
   愛飲家で知られる漢詩人の頼山陽は、江戸末期に記した「長古堂記」の中で、剣菱の味と商標を「昔から改められたことがない」と賞し、希薄なものがめまぐるしく移り変わる世で「質実であれば変動せず、変動しなければ永続する」とその長寿の理由を説いています。剣菱が生まれて500余年の間には、戦争や震災といった試練もあれば、辛口ブームや甘口ブームといったさまざまな流行もありました。しかし、どんな逆風のときも迎合することなく、昔ながらの剣菱の味を貫き通しています。これこそが、お客様の信頼に応える唯一無二の方法だと信じているからです。
 そして、昔ながらの味を守るために不可欠な技術の継承には、何より力を入れています。というのも酒造りは、手触りや香り、色、発酵の泡の状態などをつぶさに観察しながら、瞬時に対応していく必要があります。それらは文字に書いて伝えられるものではありません。また、どんなに優れたセンサーをもってしてもすべての要素を感知するのは無理である上に、分析結果が出るのを待っていたのでは手遅れになりかねません。つまり、酒造りの技術は時間と手間をかけながら、人から人へと丁寧に伝えていくしかないのです。それを全うすることが、剣菱の醸主の使命だと捉えています。
   
では最後に、納税協会会長としての抱負をお願いします。
   
   芦屋納税協会の管轄は、芦屋市と神戸市の東灘区です。この地域は特に阪神・淡路大震災の被害が大きかった地域で、人口は戻っているものの、事業者数の回復には至っていません。そうした中での会員の増強は厳しいものがありますが、エリア間の情報交換をさらに密にするなど、地道な努力を続けていくことが大切だと考えています。
 また、現在の芦屋納税協会の土地と建物は借り物ですが、すでに土地を購入し、新しい会館を建てる計画を以前より温めています。経済状況を見ながらではありますが、できるだけ早期に実現し、これまで以上に積極的な活動を展開できるよう頑張っていきます。


(納税月報 2010年8月号より)