■平成13年度の要望書

財団法人納税協会連合会
(この税制改正要望は、-納税協会連合会会長名で、政府・政党に提出しました。)

総括要望事項

 今後の税制改正に当たっては、常に国民の理解と信頼の得られる税制を確立するため、公平、中立、簡素という基本的な原則を踏まえ、所得・資産・消費のバランスのとれた税制を構築すべきである。
 また、少子・高齢化社会の到来に対応した長期安定税制を確立するため、国民の納得する徹底した行財政改革の速やかな実行と社会保険料を含めた国民負担のあり方について総合的な検討を行うとともに、次の諸点に留意することを要望するものである。

1 国際化などの経済社会の構造変化と、企業の組織形態の多様化に対応した会社分割に係る税制や連結納税制度などの法人税制の構築を図ること。

2 日本の企業活動の大部分を占める中小企業の事業承継が円滑に行えるような税制の構築を図ること。

3 相続税の税率構造や課税ベースを見直すとともに、贈与税の基礎控除額を引き上げ、負担の軽減を図ること。

4 独創的な技術開発力のあるベンチャー企業やそれに対する投資家(エンジェル)への各種支援税制の導入を図ること。

5 年金課税については、世代間の公平など幅広い観点から、適正・公平な課税方式を検討すること。

6 納税道義の高揚に大きく寄与する公益法人及びボランティア活動等を通 じて社会に貢献する民間非営利団体(NPO)に対しては、寄附金税制などの優遇措置を大幅に拡大すること。

7 納税者番号制度導入の検討に当たっては、特に個人のプライバシーの保護等に配意すること。

8 外形標準課税の導入に当たっては、中小企業者への負担を配慮すること。

9 納税意識の高揚と税務行政の環境整備をより一層図るため、次の施策を拡充強化すること。
 (1) 義務教育年齢からの租税教育の充実と徹底
 (2) 税制、財政及び社会保障の今後のあり方を含めた税金の使途についての広報活動の促進
 (3) 国と地方公共団体を通じた税務行政機関の有機的運営
 (4) 税務関係民間協力団体の事業活動への支援体制の確立

 

個別要望事項

一 所得税
1 税率構造の見直しを行い、所得税の負担の軽減を図ること。
2 所得控除の整備統合を行い、簡素化を図ること。
3 給与所得控除額の最低控除額を大幅に引き上げること。
4 住宅ローン控除制度の適用期限を廃止し、借入金利子全額を税額控除すること。
5 居住用財産の譲渡所得の特別控除額3000万円を5000万円に引き上げること。
6 不動産所得に係る損益通算の特例を廃止すること。
7 青色専従者給与の届出制を廃止すること。
8 上場株式等に係る譲渡所得等の源泉分離課税制度を継続すること。

二 法人税
1 法人税率について、中小法人に適用される軽減税率適用所得金額を大幅に引き上げること。
2 交際費について、全額損金算入を認めること。
3 事業税及び事業所税は、発生主義に基づき当該事業年度の損金に算入できるよう改正すること。
4 退職給与引当金に係る累積繰入限度額について、企業経営の健全性を維持するため、引き上げること。
5 同族会社の使用人に係る「みなし役員」規定について、役員の範囲の緩和を図るとともに、使用人兼務役員の制限規定を見直すこと。
6 同族会社の留保金課税を廃止すること。
7 同族会社の行為計算の否認規定を廃止すること。
8 公益法人(民法第34条法人)については、収益事業所得金額のうちから収益事業所得金額以外の事業に支出した金額について、その全額を損金に算入できるよう改正すること。
9 法人税の確定申告書の提出期限及び納付期限を事業年度終了後3か月以内に改正すること。
10 法人税の納付について延納制度を設けること。
11 欠損金の繰戻し還付制度について、現在、ほとんどの法人が不適用となっている特例措置を廃止すること。
12 土地の譲渡等に対する特別税率の適用の停止について、期限の到来をもって廃止すること。

三 所得税・法人税共通事項
1 減価償却資産の耐用年数について、技術革新と産業構造の変化に対応して見直しを図ること。
2 少額減価償却資産に係る必要経費算入額(損金算入限度額)を40万円未満に引き上げること。
3 有形減価償却資産の償却可能限度額を備忘価額相当額までとするとともに、未償却残高が40万円未満になった資産については、所得税については翌年、法人税については翌期において一時償却を認めること。
4 情報通信機器の即時償却制度の適用期間を延長すること。
5 収用等により資産を譲渡した場合は免税とすること。
6 特定の事業用資産(特定の資産)の買換制度の特例を更に拡充すること。
7 所得税における青色申告者の純損失の繰越控除期間及び法人税における青色欠損金の繰越控除期間を、7年間に延長すること。

四 相続税・贈与税
1 相続税の税率を引き下げ、負担の軽減を図ること。
2 同族会社の円滑な事業承継を図るため、取引相場のない株式等の評価を引き下げるなど特段の配慮を行うこと。
3 居住用不動産及び事業用不動産について、敷地330平方メートルまでの部分については、相続税の非課税措置を講ずること。
4 婚姻期間20年以上の配偶者の相続税は、非課税とすること。
5 贈与税の基礎控除額60万円を100万円に、配偶者控除額2000万円を3000万円に引き上げること。

五 間接税等
1 消費税
(1) 個別間接税(酒税、石油関連税等)及び関税については、消費税との二重課税を回避するため、抜本的な見直しを図ること。
(2) 課税事業者の課税売上高が3000万円以下となる課税期間分の消費税については、免税を選択できる措置を講じること。
(3) 資本金1000万円以上の新設法人のうち、その年の課税売上高が3000万円以下となる法人については、基準期間のない当初2年間についても、免税措置を講じること。
(4) 法人の消費税の確定申告期限を、課税期間終了後3か月以内とすること。
(5) 簡易課税の選択の事前届出制を廃止して任意選択制とすること。
(6) 簡易課税の届出を除き、各種届出書及び承認申請書の提出期限を前課税期間の確定申告期限とすること。

2 印紙税
  印紙税の課否判定が容易になるよう、印紙税法の簡素平明化を図ること。なお、将来の方向として廃止を検討すること。

六 地方税
1 住民税(道府県民税・市町村民税)
(1) 個人住民税の課税所得金額及び所得控除額を所得税と同一とし、簡素化を図ること。
(2) 法人市町村民税の均等割額を統一すること。

2 事業税
  3以上の都道府県に事務所又は事業所を有する法人について、軽減税率の適用を認める資本金基準1000万円未満を1億円未満に引き上げること。

3 不動産取得税
(1) 贈与税の配偶者控除の適用を受けて取得する居住用財産の不動産取得税について、贈与税に準じた課税標準の特例を設け、負担の軽減を図ること。
(2) 免税点を土地、家屋とも200万円に引き上げること。

4 固定資産税
(1) 現行の負担調整措置による課税方式の抜本的見直しを行うとともに、税率の引下げを行い、負担の軽減を図ること。
(2) 民法第34条の公益法人が、その本来の公益事業の用に供する固定資産については非課税とすること。
(3) 既存(中古)住宅取得の場合にも、新築住宅に対する固定資産税の減額の特例を適用できるよう制度の拡充を図ること。

5 事業所税
  事業所税は他の税目との重複感があるので廃止すること。

七 各税共通
1 更正の請求期限の延長
  更正の請求ができる期限を3年間に延長すること。
2 税額等の端数処理金額の引上げ
  各税の課税標準及び確定税額の端数処理金額を大幅に引き上げること。

八 申告手続
1 申告、納付期限の統一
  国税及び地方税の申告、納付等についての期限を原則として月末とし、各税を通 じて統一するなど簡素化を図ること。
2 分割法人の一括申告
  2以上の都道府県又は市町村に事業所を有する法人の住民税及び事業税は、主たる事務所所在地の都道府県又は市町村に一括して申告納付できるように改めること。
3 申告書の統一
  法人の住民税申告書及び事業税申告書の書式の統一を図ること。
阪神・淡路大震災に関する要望事項
 被災企業の復興を支援するため、震災特例措置の適用期間の延長など、税の減免措置を講ずること。
特別要望事項
 税は国家の存続を支える根源であり、納税の義務は憲法に定められた国民の当然の義務である。これの履行には、国民一人ひとりに強い倫理観が求められるものであるから、義務教育年齢からの租税教育の充実と徹底を図ることが重要であり、早急にかかる体制を確立することを特に要望する。
納税協会は会員の声を集約して、毎年税制改正要望書を提出しています。