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新着情報

「着任インタビュー」を掲載しました。

2018.11.02

大阪国税局長 榎本直樹氏

榎本直樹(えのもとなおき)氏の略歴】
和37年生まれ 神奈川県出身
昭和60年 大蔵省入省
平成3年 関税務署長
平成15年 東京国税局徴収部長
平成18年 財務省国際局為替市場課国際収支室長
平成20年 財務省理財局計画官
平成21年 防衛省経理装備局会計課長
平成23年 財務省大臣官房政策金融課長
平成24 財務省大臣官房付

平成27年 ㈱日本政策投資銀行取締役常務執行役員

平成29年

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大阪国税局長 榎本直樹
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【聞き手】
公益財団法人納税協会連合会
常任副会長
辻 誠一
〔平成30年8月2日収録〕


適正かつ公平な税務行政の推進に尽力


 ご着任おめでとうございます。最初に、大阪国税局長にご就任されての抱負をお聞かせいただけますでしょうか。

榎本 まず、6月に発生しました大阪北部地震や7月の豪雨、また、この度の台風21号により被害を受けられました皆様方に、心からお見舞いを申し上げます。

 国税局といたしましては、国税庁や国税局のホームページにおきまして、災害により被害を受けた場合の税制上の措置等を周知しております。

 被災された方々におかれましては、一日も早い復興に向け、希望を持って困難に立ち向かわれることを願っております。

 私は、昭和60年に当時の大蔵省に入省し、これまで様々な分野で幅広く仕事を経験してまいりましたが、税務行政に携わりますのは、平成3年の名古屋国税局、平成15年の東京国税局での勤務と、国税局長として勤務しました昨年の福岡国税局に続き4回目になります。

 関西での勤務は初めてとなりますが、この度、伝統ある大阪国税局の局長として勤務する機会を得たことは大変光栄であり、その重責に身の引き締まる思いであります。

 私ども国税組織の使命は、「納税者の自発的な納税義務の履行を適正かつ円滑に実現する」ことであり、この使命を果たしていくための税務行政の基本は二つあると考えております。

 一つ目は、「納税者サービスの充実に努める」ことです。

 具体的には、納税者の皆様の申告・納税等に役立つ情報をホームページ等を通じて分かりやすく提供するほか、ICTを活用した申告・納付手段の更なる利便性の向上に取り組んでいきたいと考えております。

 二つ目は、「適正・公平な課税・徴収の実現を図る」ことです。

 租税回避や悪質な脱税を行っている納税者に対しては、組織的に厳正な姿勢で対処するとともに、いわゆる富裕層や国際的な事案に対しても積極的に取り組むことが、納税者の皆様からの信頼を得ることにつながると考えております。

 この二つは、税務行政に携わる者にとって、いわば車の両輪に当たるものであると思っており、この車の両輪を円滑に回して、納税者の皆様との信頼関係を築くことが重要であると考えております。

 このようなことを念頭におきまして、適正かつ公平な税務行政の推進に精一杯努めていく所存ですので、納税協会の皆様におかれましても、引き続き、ご理解とご協力をいただきますようよろしくお願いいたします。
 こちらこそよろしくお願いいたします。


柔軟な発想力と力強い実行力を持つ関西企業が日本経済活性化のけん引役となることを期待

 関西の文化や歴史などについて、どのような印象をお持ちですか。

榎本 関西は、古くから都が置かれるなど日本の中心として栄えてきた歴史を持つほか、日本を代表する文化・芸能が生まれるなど、歴史と文化が非常に豊かな地域であり、人類共通の財産である世界文化遺産をはじめとして、国宝・重要文化財を数多く有する文化財の宝庫であると感じております。一方で、数多くの高層ビルが立ち並び、現在も大型の複合再開発が相次いで行われており、深い歴史と近代的な街並みが融合した、大変魅力的な地域であると感じております。

 今回、大阪勤務となったことを良い機会としまして、関西の歴史や文化に触れるとともに新しい魅力についても直接肌で感じてみたいと思います。


 関西経済についてのご感想やご期待、あるいはご提言をお聞かせください。

榎本 関西には、電気機器、製薬、保険など我が国をリードする企業が数多くあるほか、地域の特色を生かした産業も数多く、活気にあふれた地域と感じております。さらに、関西に訪れる外国人は年々増加傾向にあり、2017年に関西に訪れた外国人は、前年に比べ約18%増の1207万人となり、これに伴うインバウンド消費額は1兆円を超えて、関西の経済成長を支える大きな柱となっております。このような中で、先日、JR大阪駅北側の再開発地区「うめきた2期」の開発業者も決定し、「『みどり』と『イノベーション』の融合拠点」をまちづくりの目標に掲げて、開発が本格化していくと聞いております。計画では鉄道の地下化と新駅の設置、道路の整備といったインフラ整備も盛り込まれており、大阪の新たな人の流れが生まれるものと思います。さらに、関西では、2025年の国際博覧会の大阪開催を目指して誘致活動が活発化しているほか、2019年には日本で初の開催となるG20大阪サミットやアジアで初の開催となるラグビーワールドカップといった国際的なイベントが予定されるなど、関西の経済効果への波及効果が見込まれる取組が数多くあって、関西という地域が持つポテンシャルは極めて高いものであると感じております。

 私どもの「納税月報」の「メーカー探訪」や「めざせ!オンリーワン」には、独自技術や適応力のある企業にたくさん登場していただいています。また、関西には100年以上続いている企業がたくさんあり、中には1000年を超える企業もあります。
榎本 関西には、様々な分野において、独自の技術や製品を有する企業が多く存在しておりますが、これらの企業が多く生み出されるのは、古き良きものは守り、変化には柔軟に対応していくという関西の気風といったものが背景にあるのではないかと思っております。

 長い年月をかけて生み出された成果物は、技術・製品といった形あるものだけではなく、柔軟な発想力と力強い実行力として脈々と伝承されていると思いますので、これからも関西の経済だけではなく、日本経済のけん引役として活躍されることを期待しております。

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◎我が国の財政について

 我が国の財政について、現状を簡単にご説明いただくとともに、今後の展望をお聞かせください。

榎本 平成30年度の国の一般会計歳出総額は、97兆7128億円となっております。

 一般会計予算における歳入のうち税収は、前年度当初予算に比べ1兆3670億円増の59兆790億円を見込んでおります。

 また、公債発行額は、33兆6922億円と、25年度以降、6年連続で税収が公債金を上回っており、公債依存度につきましては、前年の35・3%から34・5%に低下しておりますが、公債残高は、平成30年度末には約883兆円に上り、一般会計税収の約15年分に相当すると見込まれております。

 このような状況の中、我が国では、少子高齢化の進行に伴い、社会保障費が年々増加していることから、「社会保障と税の一体改革」により、社会保障の充実を図るとともに、将来世代への負担の先送りの軽減を実現するということになっております。

 いずれにしましても、歳入・歳出両面での財政健全化への取組を緩めることなく着実に実施していくことが求められるものと考えております。

 国税庁におきましても、このような厳しい財政状況の下、限られた人員、予算の制約の中で、「適正・公平な課税・徴収の実現」を図るため、これまで以上に効果的かつ効率的な税務行政の運営に取り組んでいかなければならないと考えております。

納税者サービスの充実と適正・公平な課税・徴収を実現

 次に、税務行政の当面の課題と運営方針をお聞かせください。

榎本 近年、ICT・AIの著しい進展・経済取引のグローバル化により税務行政を取り巻く環境は大きく変化しております。

 このような状況の中、平成29年6月に国税庁において、中長期的に目指すべき将来像を明らかにし、その実現に向けて着実に取り組んでいくことが重要との考えの下、「税務行政の将来像」が公表されたところです。

 税務行政の将来像は、「納税者の利便性の向上」と「課税・徴収の効率化・高度化」を柱とし、ICTやマイナンバーなどの活用によるデジタル化の推進及び各種内部事務等の集中処理の推進に力を入れているところであります。

 このように事務の効率化・高度化及び集中処理化を図っていくことにより、調査・徴収のための事務量を創出し、国際的租税回避への対応や富裕層に対する適正課税の確保、大口・悪質事案への対応に的確に取り組み、適正・公平な課税・徴収の実現に努めていくこととしております。

 このほか、消費税率の引上げに合わせて2019年10月1日から消費税の軽減税率制度が導入されるほか、複数税率に対応した仕入税額控除の方式として、2023年10月1日から適格請求書等保存方式、いわゆるインボイス制度が導入されます。

 これらは、軽減税率の対象品目を取り扱う事業者はもとより、軽減税率の対象品目の売上げがない事業者等、多くの事業者の方に関係しますので、事業者の皆様がこの制度を十分に理解して適正な申告ができるよう、周知広報や相談を行っていくこととしておりますので、納税協会の皆様におかれましても、なお一層のご協力をよろしくお願いいたします。
 
 これまでの経験を踏まえ、特に力を入れたいと思っておられることはございますか。

榎本 国税庁では、納税者の利便性の向上の観点から、e─TaxなどのICTを活用した利便性の高い申告・納付手段の充実に取り組んでおります。

 特に、e─Taxの更なる利便性の向上を図るため、2019年1月から、マイナンバーカードを用いてe─Taxへログインするだけで、より簡単にe─Taxの利用を開始し、申告等データの作成・送信が可能となるマイナンバーカード方式やe─Tax用のID・パスワードのみで、国税庁ホームページからe─Taxによる送信が可能となるID・パスワード方式等の実施を予定しておりますので、今後もより多くの方々にe─Taxをご理解いただき、利用していただきたいと思っております。

 また、近年、経済社会がますます国際化している中で、国際的な租税回避行為に対する国民の皆様の関心が高まっており、国税庁において、平成28年10月に、「国際戦略トータルプラン」が公表されております。

 この国際戦略トータルプランにおいて、国外送金等調書等の制度を活用した情報収集・活用の強化、国際課税に関する調査を専門的に行う部署の整備・拡充、外国当局との連携の強化といった取組に力を入れております。

 このような様々な取組を推進していくことにより、税務行政の基本である、納税者サービスの充実と適正・公平な課税・徴収の実現に努めてまいりたいと思っております。


◎魅力的な事業を活発に展開し、企業経営や地域社会への貢献を期待

 納税協会は、税に関する公益法人として、租税教室の開催などに積極的に取り組むほか、次代を担う青年部会の活性化に力を注いでいます。

 また、来年10月から消費税の軽減税率制度が始まりますので、その周知及び広報にも取り組んでいます。納税協会へのご注文、ご期待などがありましたら、お聞かせください。

榎本 納税協会は、個人・法人を問わず、加入することができる全国に例のない組織として、税知識の普及、適正な申告納税の推進及び納税道義の高揚を図るという目的のため日々ご尽力いただいており、私どもにとりましても大変心強い存在となっております。

 また、納税協会の部会の中でも、青年部会では、積極的に事業活動を行っていただいており、共通の活動テーマとして租税教育を掲げて特に力を入れて取り組んでおられると聞いております。

 本年11月には、11回目となる「納税協会青年の集い」が和歌山で開催されますが、このように、次代を担う青年部会が中心となって、今後も熱意を持って組織の活性化に取り組まれることを期待しております。

 さらに、各納税協会におかれましては、2019年10月1日から導入される消費税軽減税率制度につきまして、我々と緊密に連携し、説明会の開催をはじめとして周知・広報にも積極的に取り組んでいただいております。

 私どもといたしましても、納税協会の皆様とは講演会や説明会といった事業活動を通じ、税務行政の良き理解者、良きパートナーとして、これまで以上により良い連携・協調関係を築いていきたいと考えております。

 今後も魅力ある事業を活発に展開され、地域社会での納税協会の存在意義を高めるとともに、より一層、企業経営及び地域社会の発展に貢献されますことを期待しております。

 今後とも、引き続きご理解とお力添えをよろしくお願いいたします。

 こちらこそ、よろしくお願いいたします。

基本動作を重んじ、風通しの良い職場環境を作り上げる

 お仕事をする上でのモットー、ご自身の座右の銘などがございましたらお聞かせください。

榎本 モットーや座右の銘というものは特にありませんが、仕事をする上で大事なことは、「基本動作の徹底」と「連係プレーの大切さ」であると感じております。

 基本動作とは、まさに字のとおり、仕事をする上での基本となるものであり、どんな仕事をするに当たっても、この基本動作を大事にして仕事を進めていく必要があると考えております。

 また、仕事をする上では、職員間のコミュニケーションが必須となりますので、縦、横そして全体のコミュニケーションを活性化させるとともに、情報を共有することにより、連係プレーの取れる風通しの良い職場環境を作っていくことが重要であると考えております。

 今後も、今申し上げたことなどを心に留め、仕事に取り組んでいきたいと考えております。

 それでは、最後に、余暇の過ごし方、趣味などについてお聞かせください。

榎本 趣味としましては、あまり遠出をするということではなく、小旅行に行き、その土地にしかないものを味わうことが、趣味になるかもしれません。

 先ほども申し上げましたが、関西は歴史的な建造物や文化遺産を数多く有しているほか、食文化も多彩です。これからは休日を利用して、できる限り様々な地域に足を伸ばしてみたいと思っております。


 お体にお気を付けていただきまして、ご活躍されますことを、納税協会の会員の皆様とともに祈っております。

 本日は、お忙しいところ、ありがとうございました。


(納税月報 2018年10月号より)

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