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新着情報

「着任インタビュー」を掲載しました。

2017.11.08

大阪国税局長 橋本元秀氏

【橋本元秀(はしもともとひで)氏の略歴】
和34年生まれ 京都府出身
昭和58年 大蔵省入省
平成元年 小樽税務署長
平成2年  防衛庁防衛局計画官付部員
平成15年 金融庁監督局銀行第二課金融会社室長
平成18年 大阪国税局総務部長
平成20年 国税庁長官官房会計課長
平成22年 札幌国税局長
平成26年 ㈱日本政策金融公庫取締役

平成28年 関東信越国税局長

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大阪国税局長 橋本元秀氏
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【聞き手】
公益財団法人納税協会連合会
常任副会長
辻 誠一
〔平成29年8月2日収録〕


適正かつ公平な税務行政の推進に努める


 ご着任おめでとうございます。最初に、大阪国税局長にご就任されての抱負をお聞かせいただけますでしょうか。

橋本 私は、昭和58年に大蔵省に入省し、これまで様々な分野で幅広く仕事を経験してまいりましたが、税務行政に携わりますのは、平成元年の小樽税務署長をはじめとして、国税庁や国税局で10年強勤務させていただきました。国税局長としては、平成22年に札幌国税局長、昨年の関東信越国税局長に続き3回目であり、大阪国税局での勤務は、平成18年に総務部長として勤務して以来、2度目になります。私は、もともと京都府の出身でありますので、ふるさとでもあるこの関西の地で勤務する機会を得たことをとても光栄に思っております。大阪国税局といいますと、歴史と伝統がある組織でありますとともに、東京国税局に次ぐ職員数を有し、国税組織の中核をなす重要な局であると認識しております。

 今回、そのトップとして税務行政を担っていくこととなり、大変身の引き締まる思いであります。

 私ども国税組織の使命は、「納税者の自発的な納税義務の履行を適正かつ円滑に実現する」ことです。国税局、税務署の限られた人員の中で、最大限の力を発揮し、この使命を果たしていくためには、納税者である国民の皆様の理解と信頼をいただくことが何よりも重要であると思っております。

 私が、国税組織の基本を考えるときに思い出す言葉に、「正直者には尊敬の的、悪徳者には畏怖の的」があります。これは昭和24年の国税庁開庁式でGHQのハロルド・モス氏が国税庁に贈った言葉です。

 「適正に申告している納税者からは尊敬される存在であるように、反対に悪質な納税者からは、的確な調査・徴収を行うことで恐れられる存在でありますように」ということを示すものであります。

 こうした姿勢の下、税制改正の広報や納税者からの税務相談に対しては、親切・丁寧に分かりやすく説明するなどの対応を行っていくほか、調査等においては、専門的な知識に基づいて的確な指摘を行っていくということが、納税者からの尊敬につながるものだと考えています。

 一方で、脱税や税金をごまかそうとしている人に対しては、厳正な調査・徴収を行うことで、けんせい効果を持つような存在になるべきであると考えております。

 このようなことを念頭に置きまして、国民の皆様から信頼される適正かつ公平な税務行政の推進に精一杯努めていく所存ですので、納税協会の皆様におかれましても、引き続き、ご理解とご協力をいただきますようよろしくお願いいたします。
 
 こちらこそよろしくお願いいたします。


独自の技術力で変化に対応していく関西企業が日本経済活性化のけん引役となることを期待

 関西の文化や歴史などについて、どのような印象をお持ちですか。

橋本 関西は、文化遺産の宝庫であり、世界遺産を例に取ってみましても、私の出身地である京都と滋賀からなる古都京都の文化財をはじめ、兵庫、奈良、和歌山と関西一円にございます。また、我が国の歴史上、長く都が置かれた地域でもあり、古代より日本の歴史の中心であり続けると思います。一方で、大阪や神戸は商都として栄えてきた経緯もあり、大きなビルが立ち並ぶ現代的なまちでもあります。このように、関西は文化や歴史が非常に豊かであるとともに、深い歴史と現代的な大都市が融合する、大変魅力のある地域であると感じています。今回、11年ぶりに大阪勤務となったことを良い機会としまして、改めて関西の文化や歴史に直接触れてみたいと思っております。


 関西経済についてのご感想やご期待、あるいはご提言をお聞かせください。

橋本 関西には創業から100年を超える企業が数多くあると聞いております。近年、東京への一極集中といったことが言われる中、電気機器、製薬、保険等の付加価値の高い産業をはじめ、それぞれの地域が持つ特色を活かした産業が関西には集まっており、とても活気があると感じています。活気を感じているもう一つの要因として、2016年に大阪府を訪れた外国人観光客が前年比3割増の941万人となり、これに伴うインバウンド消費があります。関西の中でも外国人観光客の滞在が集中する大阪市では、ホテル建設がピークを迎えており、大阪・中之島では高級ホテルが開業したほか、駅・空港へのアクセスが良い市内中心部では今後も新規開業が予定されております。大阪の心斎橋エリアでは、先月発表されました路線価が、前年に比べ36%程上昇し、大阪局管内で最高の上昇率となるほか、地価公示によると、道頓堀エリアでは、外国人観光客の大幅増加等を背景に、商業地で全国1位の上昇率を記録したようです。また、2025年に開催される国際博覧会(万博)の開催地に大阪府が立候補しました。大阪市の人口島「夢洲(ゆめしま)」を会場に、人工知能(AI)や仮想現実(VR)といった最先端技術を用いた参加型の万博を目指すとともに、万博会場周辺を特区に指定し、医療・健康、ドローン、車の自動走行など、未来社会に向けた技術の実験場にする方針であると聞いております。これは、関西の持つ先進的な技術を世界にアピールできる絶好の機会になるものと期待しております。このほかにも、独自の技術力を有する企業が、分野を問わず多く存在しており、関西の持つポテンシャルは、極めて高いものであると感じております。

 私どもの「納税月報」の「メーカー探訪」や「めざせ!オンリーワン」には、独自技術や適応力のある企業にたくさん登場していただいています。また、局長からのお話にもありましたが、関西には100年以上続いている企業がたくさんあり、中には1000年を超える企業もあります。
橋本 長い年月にわたって続いている企業には、古き良き伝統を大切にし、これまで培ってきたノウハウを次世代の後継者に伝えていく一方で、自由な発想やオリジナリティー等を駆使して、変化に柔軟に対応していくという関西の気風といったものがあるのではないかと考えています。ICTやAIが著しく進展するとともに、経済社会がますますグローバル化している中で、このような企業が、関西の経済だけでなく、日本経済のけん引役として活躍されることを期待しております。
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◎我が国の財政について

 我が国の財政について、現状を簡単にご説明いただくとともに、今後の展望をお聞かせください。

橋本 平成29年度の国の一般会計歳出総額は、97兆4547億円となっております。

 一般会計予算における歳入のうち税収は、前年度当初予算に比べ1080億円増の57兆7120億円を見込んでおります。

 また、公債発行額は、34兆3698億円と、25年度以降、5年連続で税収が公債金を上回っており、公債依存度につきましても前年の35・6%から35・3%と低下しておりますが、公債残高は、平成28年度末には約865兆円に上り、一般会計税収の約15年分に相当すると見込まれています。

 このような状況の中、急速に進む少子高齢化により、年金医療、介護などの社会保障費用は急激に増加しており、現在では国・地方の財政の大きな部分を占めています。このため、「社会保障と税の一体改革」においては、消費税率の引上げによる増収分を全て社会保障の財源に充てることとし、社会保障の充実・安定化と、将来世代への負担の先送りの軽減を同時に実現するということになっております。

 いずれにしましても、歳入・歳出両面での財政健全化への取組を緩めることなく着実に実施していくことが求められるものと考えます。

 国税庁におきましても、このような厳しい財政状況の下、限られた人員、予算の制約の中で、「適正・公平な課税・徴収の実現」を図るため、これまで以上に効果的かつ効率的な税務行政の運営に取り組んでいかなければならないと考えております。

納税者の利便性向上と事務運営の最適化で、適正・公平な課税・徴収を実現

 次に、税務行政の当面の課題と運営方針をお聞かせください。

橋本 近年、税務行政を取り巻く環境は大きく変化しております。

 ICTやAIが急速に進展するとともに、経済取引がグローバル化し、資産運用が多様化する中で、国税職員の定員の減少と所得税の申告件数や法人数の増加などがあり、調査・徴収は複雑・困難化しております。

 このような状況の中で、先日、国税庁において、中長期的に目指すべき将来像について国税当局として考えていることを取りまとめた「税務行政の将来像」が公表されました。

 その中にも記載されておりますが、納税者の利便性の向上としては、申告・納付の手続きについて、e─TaxなどのICTやマイナンバーなどの活用によるデジタル化を推進していくこととしております。

 一方、調査・徴収事務については、効率化・高度化するとともに、内部事務の集中処理などの業務改革を推進することにより、事務運営の最適化を進めていくこととしております。

 このような取組を行った上で、国際的租税回避への対応や富裕層に対する適正課税の確保、大口・悪質事案への対応に的確に取り組み、適正・公平な課税・徴収の実現に努めていくこととしております。

 さらに、消費税の「軽減税率制度」が、平成31年10月1日の消費税率の引上げと同時に実施されることとなっております。我々としましても、事業者の皆様がこの制度を十分に理解して適正な申告ができるよう、周知広報や相談を行っていくこととしておりますので、納税協会におかれましても、なお一層のご協力をよろしくお願いいたします。
 
 これまでの経験を踏まえ、特に力を入れたいと思っておられることはございますか。

橋本 近年、経済取引のグローバル化が進展する中で、いわゆる「パナマ文書」の公開などにより、富裕層や海外取引のある企業による、海外への資産隠しのほか、国外で設立した法人や各国の税制・租税条約の違いを利用して税負担を軽減する等の国際的な租税回避行為が大きな問題となっております。

 国税庁では、国際課税への取組を重要な課題と位置付け、今後の取組方針を示した「国際戦略トータルプラン」を公表したところであり、情報収集の充実や富裕層・海外取引のある企業への対応に力を入れているところであります。

 情報収集の充実に関しましては、国外送金等調書や国外財産調書などの制度を活用するとともに、租税条約に基づく情報交換といった国際的な取組を積極的に進めているところであり、国内外をまたぐ資金の移動や国外に保有する資産の更なる把握に努めてまいります。

 このような取組を通じて把握した悪質な納税者や滞納者に対しましては、組織的に厳正な態度で臨んでいくことで、全ての納税者の方に、課税の公平感を感じていただけるような税務行政を行ってまいりたいと考えております。


魅力ある事業を展開し、税知識の普及や地域社会への貢献を期待

 納税協会は、税に関する公益法人として、引き続き税法説明会や租税教室の開催、e─Tax利用推進運動などに積極的に取り組むほか、次代を担う青年部会の活性化に注力することとしています。

 納税協会へのご注文、ご期待などがありましたら、お聞かせください。

橋本 納税協会は、税知識の普及や適正な申告納税の推進及び納税道義の高揚を目的として活動されている素晴らしい組織であり、改正税法や「社会保障・税番号制度」など税に関連した各種説明会の開催や、租税教室への講師派遣等、公益性の高い事業活動に積極的に取り組んでいただいております。

 これらの活動を行っていただいている納税協会は、税務行政を遂行する立場にある私どもにとりましても大変心強い存在となっております。

 また、納税協会の部会の中でも、次代を担う青年部会は、研修会や講演会など、積極的に事業活動を行っていただいており、特に、今年で10回目の開催となる「青年の集い」は、毎年、幹事ブロックごとに地域の趣向を凝らした企画が打ち出され、活気溢れる活動をされていると伺っております。

 さらに、今年の2月に開催されました「納税協会連合会青年部会連絡協議会」において、今後の青年部会の共通活動テーマを「租税教育活動」とすることが決定され、租税教育に力を入れて取り組まれると聞いております。

 このように、青年部会が中心となって、柔軟な発想を持って活動をされていることは、納税協会の更なる発展にもつながると思いますし、税務行政の円滑な運営にもよく寄与していただいていると考えております。

 今後もより魅力ある事業を活発に展開され、地域社会での納税協会の存在意義を高めるとともに、税知識の普及や適正な申告・納税にご尽力いただき、企業経営及び地域社会の発展に貢献されますことを期待しております。

 今後とも、引き続きご理解とお力添えをよろしくお願いいたします。

 こちらこそ、よろしくお願いいたします。

幸運なときにも油断せず、不幸な出来事も前向きに捉える

 お仕事をする上でのモットー、ご自身の座右の銘などがございましたらお聞かせください。

橋本 我々の仕事におけるモットーは、先ほど申し上げた「正直者には尊敬の的、悪徳者には畏怖の的」というものですが、およそ全ての仕事において大切な基本となるものは、「明るく風通しの良い職場」であることだと思います。私自身も日頃から職員とコミュニケーションを図り、明るく風通しの良い職場環境作りに努めております。

 座右の銘としては「一期一会」という言葉が好きです。この言葉は、「人と人との出会いを大切にする」という意味のほかに、「一瞬一瞬を大切にする」という意味があるという話を以前に聞いたことがあり、私も深く共感いたしました。人との出会いはもちろんのこと、この一瞬一瞬を大切にして「今」を一生懸命に生きるよう努めております。

 また「人間万事塞翁が馬」ということわざも好きです。これは、中国の北方の要塞に住んでいた老人に由来しておりまして、災いの種だと思っていたものが幸運を呼び込み、幸運と思っていたものが災いの原因になったという話で「人生における幸不幸は予測できない」ということです。

 これは、私のこれまでの人生にも当てはまっていることでして、一つ例を挙げさせていただきますと、実は若い頃に体を壊しまして、長期間入院しなければならない時がありました。入院中はやりたいことが何もできず、非常につらい思いをしました。それまでは元気なものでしたから、入院してみて初めて健康の大切さに気付くことができました。同時に、家族や親友の有り難みを再認識できましたので、逆境の中でも得るものは大きかったと思っております。

 不幸な出来事が起きても、実はそれは幸運の種なのかもしれないと前向きに捉えて自らを励まし、反対に物事が順調に進んでいる幸運なときには、油断しないように常日頃から気を付けたいと思います。

 それでは、最後に、余暇の過ごし方、趣味などについてお聞かせください。

橋本 趣味はスポーツをすることです。中学・高校はテニス部に所属しておりましたし、大学に入ってからは、競技ダンスを始めました。ダンスを行う大学生の大半が初心者でしたので、初めはみんな横一線ですが、練習量により徐々に差が生まれてきます。所属するダンス部の厳しい練習のおかげで、上達を実感でき、非常に楽しかった思い出があります。

 学生時代に比べると、体は随分と動かなくなってきていますが、健康増進のためにスポーツを続けていきたいと思っております。最近は卓球を始めました。下手ですがとても楽しくプレーしており、特にダブルスが好きです。スポーツはするのも見るのも好きなので、スポーツを通じて様々な方と交流し、コミュニケーションを図っていきたいと思っております。

 また、休日や平日の時間があるときには読書もするようにしており、好きな作家は司馬遼太郎、宮本輝、吉村昭などです。彼らの作品は若い頃からよく読み、今でも読み返しております。
 お体にお気を付けていただきまして、ご活躍されますことを、納税協会の会員の皆様とともに祈っております。

 本日は、お忙しいところ、ありがとうございました。


(納税月報 2017年10月号より)

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