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新着情報

「着任インタビュー」を掲載しました。

2016.11.08

大阪国税局長 藤田博一氏
【藤田博一(ふじたひろかず)氏の略歴】
昭和35年生まれ 兵庫県出身
昭和58年 大蔵省入省
昭和63年 萩税務署長
平成2年  外務省在ベルリン日本国総領事館領事
平成10年 日本貿易振興会フランクフルト事務所長
平成16年 財務省主計局主計官
(内閣、司法・警察、財務係担当)
平成24年 国税庁調査査察部長
平成26年 国税庁課税部長
平成27年 名古屋国税局長
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大阪国税局長 藤田博一氏
1610-着任インタ(辻副会長写真).jpg
【聞き手】
公益財団法人納税協会連合会
常任副会長
辻 誠一
〔平成28年8月3日収録〕


◎国民の皆様から信頼される税務行政の円滑な推進に努める


 ご着任おめでとうございます。最初に、大阪国税局長にご就任されての抱負をお聞かせいただけますでしょうか。

藤田 私は、昭和58年に大蔵省に入省し、これまで様々な分野で幅広く仕事を経験してまいりました。
 税務行政に携わりますのは、昭和60年の名古屋国税局の調査査察部をはじめとして、山口県の萩税務署、東京国税局、国税庁で勤務いたしまして、国税局長は前年の名古屋国税局長に続き2回目であります。
 私はもともと兵庫県の出身ではありますが、関西での勤務は初めてであり、ふるさとに近い大阪で国税局長という重責のある仕事に従事させていただく機会を得たことを非常に光栄に思っております。
 大阪国税局といいますと、職員数など東京国税局に次いで大きな規模を誇っておりますし、関西という重要な地域を預かっている、国税組織の中核をなす重要な局であると認識しており、また、長い伝統のある組織であります。
 今回、そのトップとして税務行政を担っていくことは、大変身の引き締まる思いであります。
 私ども国税庁の使命は、「納税者の自発的な納税義務の履行を適正かつ円滑に実現する」ということであり、国税局、税務署の限られた人員の中で、最大限の力を発揮し、この使命を果たしていくためには、大きく分けて「納税環境の整備」と「適正・公平な課税・徴収の実現」の二つが非常に重要であると考えております。
 一つ目の、納税環境の整備につきましては、納税者の皆様が自発的に正しい申告・納税を行えるように、e─TaxをはじめとしたICTを活用した、納税者の利便性の高い申告・納税手段を提供するなど納税者サービスの充実に取り組むことが重要であると考えております。
 二つ目の、適正・公平な課税・徴収の実現につきましては、真面目に適正な申告を行っていただいている納税者に不公平感を与えないよう、悪質な納税者に対しては、組織的に厳正な姿勢で臨んでまいります。
 また、最近の問題で申し上げますと、新聞報道等でパナマ文書に関する記事が大きく報じられたところでありますが、こういった問題を念頭に富裕層や国際的な事案についても積極的に取り組んでいくことが、国民の皆様からの信頼を得ることにつながると思っております。
 以上のようなことを念頭に置きまして、国民の皆様から信頼される税務行政の円滑な推進に精一杯努めていく所存ですので、納税協会の皆様におかれましても、引き続き、ご理解とご協力をいただきますようよろしくお願いいたします。
 
 こちらこそよろしくお願いいたします。


◎古き良き伝統を大切にし、自由な発想で変化に挑む関西企業が日本経済活性化のけん引役となることを期待

 関西の文化や歴史等について、どのような印象をお持ちですか。

藤田 先ほども申し上げましたが、私は、兵庫県で生まれ育ちましたので、関西の事は、ある程度知っているつもりですが、関西の魅力の一つは、何と言っても、文化や歴史の蓄積が非常に豊かであるということではないでしょうか。
 関西は、古くからの永い歴史を誇っており、絶えず日本の歴史の中心であり続けていると思います。
 例えば、世界遺産を取ってみましても、京都・滋賀からなる古都京都の文化財をはじめ、兵庫、奈良、和歌山と関西一円にございます。
 一方で、大阪や神戸は商都として栄えた経緯もあり、大阪市内や神戸市内に、大きなビル等が立ち並ぶなど、近代的な印象も受けます。
 今回、大阪勤務となったことを機会に、改めて様々な関西の歴史や文化に触れてみたいと思っております。

 関西経済についてのご感想やご期待、あるいはご提言をお聞かせいただければと思います。

藤田 近年、東京への一極集中が言われる中、関西には、創業から100年を超える企業が数多くあり、電気機器、製薬、保険等の付加価値の高い産業をはじめ、それぞれの地域が持つ特色を活かした産業が集まっており、とても活気があると感じています。
 関西国際空港は、2012年に国内初のLCC(格安航空会社)が運航して以来、その一大拠点となっておりまして、最近においては、相次ぐLCCの就航や増便などによって、インバウンド(訪日外国人客)も急増しており、2015年度の外国人旅客数は、年度として初めて1000万人を上回りました。
 また、2001年に開業した大阪市此花区のテーマパーク、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンが開業15周年を迎え、一時は経営危機に陥ったものの、様々な事業を立ち上げ、家族層や外国人観光客を取り込むことに成功し、2015年度の来場者は過去最高の1390万人を超えるなど、好調を維持しております。
 先日、大阪の難波・心斎橋辺りを歩いていたのですが、外国人の観光客や若い人たちがたくさん来ておられて、日本、関西を分かっていただくという意味でも非常にいいことではないかと思っています。
 この付近は、先月発表されました路線価につきましても、前年に比べ40%近くも上昇しており、外国人観光客の増加も寄与して、店舗・ホテル需要が旺盛であることも、地価を押し上げた一つの要因ではないかと考えられます。
 このように、様々な場所にモノや人が多く集まり、活況を呈することで、関西経済の活性化にもつながるものと考えております。
 この他にも、独自の技術力を有する企業が分野を問わず多く存在しており、関西の持つポテンシャルは、極めて高いものであると感じております。

 私どもの「納税月報」の「メーカー探訪」や「めざせ!オンリーワン」には、独自技術や適応力のある企業にたくさん登場していただいています。また、局長からのお話にもありましたが、関西には100年以上続いている企業がたくさんあり、中には1000年を超える企業もあります。

藤田 これまで培ってきたノウハウや古き良き伝統といったものを大切にして、次世代の後継者に伝えていくと同時に、自由な発想やオリジナリティー等を発揮して、変化に柔軟に対応していくという関西の気風といったものが、このように長い年月にわたって続く企業を多く生み出しているのではないかと考えております。
 経済活動のグローバル化が進んでいる中で、このような企業が、関西の経済だけでなく、日本経済のけん引役として活躍されることを期待しております。1610-着任インタ(全体写真).jpg

◎我が国の財政について

 我が国の財政について、現状を簡単にご説明いただくとともに、今後の展望をお聞かせください。

藤田 平成28年度の国の一般会計歳出総額は、96兆7218億円となっております。
 一方、一般会計予算における歳入のうち税収は、前年度当初予算に比べ3兆790億円増の57兆6040億円を見込んでおります。
 また、公債発行額は、34兆4320億円と、25年度以降、4年連続で税収が公債金を上回っており、公債依存度につきましても前年の38・3%から35・6%と低下しておりますが、公債残高は、平成28年度末には約838兆円に上り、一般会計税収の約15年分に相当すると見込まれています。
 このような債務残高が増大していくことにより、国債の支払が増加し、政策経費が圧迫されると、社会保障やインフラ整備などの公的サービスの水準の低下がもたらされます。
 また、将来的に、国民皆保険の維持、次世代への引渡しが困難になるなど、現役世代と将来世代の不公平が発生するといった問題も出てまいります。
 このため、引き続き、歳入・歳出両面での財政健全化目標達成への取組を緩めることなく着実に実施していくことが求められるものと考えております。
 このような厳しい財政状況の下、国税庁におきましても、限られた人員、予算の制約の中で、「適正・公平な課税・徴収の実現」を図るため、これまで以上に効果的かつ効率的な税務行政の運営に取り組んでいかなければならないと考えております。
 

◎納税者の皆様が自発的かつ適正に申告・納税していただけるよう納税者サービスの充実に取り組む

 次に、税務行政の当面の課題と運営方針をお聞かせください。

藤田 税務行政を取り巻く環境は、経済活動のグローバル化、ICT化の急速な進展により、企業や個人の国境を越えた経済行動が複雑・多様化しており、年々厳しさが増している状況にあります。
 税制面に目を向けますと、平成27年1月からの相続税の課税ベースの拡大や、平成28年1月からの社会保障・税番号制度の導入に伴う様々な税制改正が行われてきたところであります。
 中でも、社会保障・税番号制度については、来年1月以降、所得税の申告書などへの番号の記載が本格化するところであります。
 国税庁は、マイナンバー及び法人番号の利活用機関であるとともに、法人番号の付番機関であることから、制度の導入を契機として、納税者の皆様の利便性向上を図るために、様々な検討を行っているところであります。
 このような状況の中で、国税庁に課せられた使命を果たすべく、今後、調査・徴収事務を適切に実施しつつ、納税者の皆様に自発的かつ適正に申告・納税していただくためには、納税者サービスをどのように充実させていくかということが重要な課題となっております。
 まず、「調査」に関しましては、限られた人員の中で、国際的租税回避や消費税の不正還付といった不正が発生しやすい分野や、それらの不正を見逃してしまった場合に全体の申告水準に与える影響が大きい分野に対して、重点的に調査を実施していくこととしております。
 「徴収」につきましても、滞納者の個々の実情に即した対応を行うことを基本としつつ、納付の意思が認められない悪質な滞納者に対しては、厳正に滞納処分を実施していくこととしております。
 また、「納税者サービスの充実」に関しましては、納税者の皆様が高い納税意識を持って、自発的かつ適正に納税義務を履行していただくために、国税庁のホームページを通じて提供する情報を充実させていくことや、e─TaxなどICTを活用した申告・納税手段の充実も必要であると考えております。
 特に、e─Taxにつきましては、スマートフォンやタブレットなどによる納付手続が可能となったほか、申告書添付書類のイメージデータによる提出など、更なる利便性の向上に向けた施策に取り組むこととしております。
 
 これまでの経験を踏まえ、特に力を入れたいと思っておられることはございますか。

藤田 近年、経済活動のグローバル化が急速に進展する中、先ほども申し上げましたパナマ文書の問題など、海外で受け取った収入を申告しない、各国の税制の違いを巧みに利用してどこの国にも税金を納めないといった国際的な租税回避が大きな問題となっております。
 こうした問題に対応するため、諸外国の国税当局と連携して、情報交換といった国際的な取組を積極的に進めているところであり、これらの取組を通じて把握した悪質な納税者や滞納者に対しましては、組織的に厳正な態度で臨みたいと考えております。
 かつては、もう誰も追いかけられないと思っていたようなところも、きちんと追いかけるようにすることで、適正に納税義務を果たそうとしている納税者の方が、税に対する公平感に疑問を感じることがないようにしていきたいと思っております。


◎魅力ある事業を活発に展開し、企業経営や地域社会発展への貢献を期待

 戦後間もない昭和21年6月に発足した納税協会連合会は、今年、創立70周年を迎えました。

藤田 まずは、創立70周年、おめでとうございます。心からのお慶びとお祝いを申し上げます。
 納税協会連合会におかれましては、昭和21年の発足以来、長い歳月にわたり、我々税務当局との連携・協調のもと、適正な申告納税の推進や納税道義の高揚のために、各納税協会と手を携えて、その中軸として納税協会全体の事業活動の円滑な遂行が図られるよう活動されてこられました。
 また、税制に納税協会会員等の要望を反映させるための活動や、租税等に関する研究の奨励などを目的とした「税に関する論文」の募集など積極的かつ多様な活動が、適正申告の推進などに果たされている役割は、計り知れないものがございます。
 これらの活動は、税務行政を遂行する立場にある私どもにとりましても、大変心強い存在となっております。

 納税協会では、次代を担う青年部会の活性化に力を注いでおり、「青年の集い」を毎年開催していますほか、e─Tax利用推進運動、租税教育など公益目的事業の推進にも積極的に取り組むこととしています。納税協会へのご注文、ご期待などがありましたら、お聞かせください。

藤田 納税協会の部会の中でも、次代を担う青年部会は、積極的に研修会や講演会などの事業活動を展開され、特に、今年で9回目の開催となる「青年の集い」は、毎年、主管されるブロックごとに地域の趣向を凝らした企画が打ち出され、活気に満ちた活動となっていると伺っております。
 納税協会がより発展していくためには、この青年部会が中心となって、柔軟な発想を持って、組織の活性化に取り組んでいただくことが必要であると思いますので、今後も積極的に事業活動に取り組まれることを期待しております。
 納税協会は、私ども行政だけではできない部分を、民間の立場から公益目的に沿って活動するという大変すばらしい目標を掲げている組織であり、「社会保障・税番号制度」や改正税法など、税に関連した各種説明会の開催や、租税教室への講師派遣等、公益性の高い事業活動を展開していただいております。 
 私どもといたしましても、納税協会の皆様とは、講演会や説明会といった様々な事業活動を通じ、税務行政の良き理解者、良きパートナーとして、これまで以上により良い連携・協調関係を築いていきたいと考えております。
 平成23年に、83全ての納税協会が公益社団法人へ移行されて、5年が経過しましたが、今後も、より魅力ある事業を活発に展開され、地域社会での納税協会の存在意義を高めるとともに、税知識の普及や適正な申告・納税の推進にご尽力いただき、企業経営及び地域社会の発展に貢献されますことを期待しております。
 今後とも、引き続きご理解とお力添えをよろしくお願いいたします。

こちらこそ、よろしくお願いいたします。

◎今までにない発想で生み出した手法をもって、様々な課題に取り組んでいく

 お仕事をする上でのモットー、ご自身の座右の銘などがございましたらお聞かせください。

藤田 仕事をする上で大事なことは、職場環境の整備であり、職員間のコミュニケーションがあって初めて、中身のある仕事ができると思っておりますので、怠りなく、的確に組織内の縦横の意思疎通、コミュニケーションをしっかりと行うことが重要であると考えております。
 また、座右の銘といったものではないですが、私は子供の頃から阪神タイガースのファンでありまして、今年は「超変革」ということで、やっていきたいと考えております。
 例えば、組織の各種システムなどのICTを効果的・効率的に活用することにより、内部事務を合理化していくこと、また、調査・徴収事務については、システムが保有する各種情報を有効に活用できるよう事務の高度化を推し進めていくことが必要であります。
 さらには、これは大阪国税局だけでできることではありませんが、調査・徴収事務などに人工知能、AIを活用することを研究していくことで、非常に限られた人員により調査等を行うことを可能とする、例えば、軽微な誤りや、少しの注意をすれば気付くような申告内容の誤り等に関しては、AIが自動的に誤りを指摘して、自発的な修正申告を促す内容の文書を納税者に送付する、一方で、悪質な申告を行う納税者などに対しては、人員を投下して、しっかりと調査に当たっていくといったような体制、仕組み作りも、将来的には必要ではないかと考えております。
 今申し上げたことはあくまで一例ですが、様々な課題や問題点に対しては、これまでになかった発想を持ち、新たな手法・ノウハウを開発、研究し、それを活用することで取り組んでいきたいと考えております。

 それでは、最後に、余暇の過ごし方、趣味などについてお聞きしたいのですが。

藤田 まず、余暇の過ごし方については、以前、同じことを聞かれた際に、土日にウォーキングでいろいろな場所に行くことだと申し上げたら、それが趣味だというふうになりました。
 これからも、土日を利用して、できる限り自分の足で歩いて様々な場所に行こうと思っております。
 また、歴史小説を読むのが好きで、昔は司馬遼太郎さんの本を結構読みましたし、最近では塩野七生さんの本などを、時間を見つけて読むようにしております。

  お体にお気を付けていただきまして、ご活躍されますことを、納税協会の会員の皆様とともに祈っております。
 本日は、お忙しいところ、ありがとうございました。


(納税月報 2016年10月号より)

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