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躍進する関西 2016年の関西経済、税、納税協会の展望

2016.01.14

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大阪国税局長
岡田 則之
  公益財団法人納税協会連合会会長
尾崎 裕

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【司会】
公益財団法人納税協会連合会
常任副会長
辻 誠一

(敬称略)


1 関西経済の展望
 今日は、新春の対談ということですので、関西経済、税、そして、これからの納税協会について、ざっくばらんにお話しいただければと思います。
 さて、我が国経済は、一部で改善に弱さがあるものの個人消費に持ち直しの動きが見られるなど、昨年は緩やかな回復基調にありました。関西経済も同様に、企業業績や雇用・所得環境の改善を受けて、着実に回復への道を歩み続けることが期待されています。
 まずは尾崎会長、このような関西経済の現状と今後の展望について、どのようにお考えでしょうか。
 
尾崎  今年、回復基調にある日本そして関西の経済は、その足腰の強さを試され、更なる力強い成長へと向かうための「正念場」を迎えると言えます。
 懸念されるのは、新興国経済の動揺です。特に中国が、製造業からサービス業へ、外需主導から内需主導へと重点を移す経済構造の転換点に差し掛かる中で成長速度を落とし、その影響は、アジア地域と関係の深い関西の輸出関連業種における生産の足踏みや先行き不透明感の高まりに表れています。
 一方、明るい話題は、外国人旅行客の活況です。インバウンドツーリズムは、官民一体となった環境整備も奏功して勢いを増し、今や関西経済の牽引役です。その効果で、街角の小売業や宿泊サービス業における日々の風景から、民間設備投資や公共インフラ整備など中長期的計画に至るまで、関西経済の雰囲気は前向きに変化しました。引き続き、内需にも刺激を与え、日本経済全体の底上げにも繋がっていくことを期待します。
 今後の景気の浮沈は、関西経済を、持続性を備えた更に強靭な構造へと進化させ得るかどうかに懸かっています。そのために、政府が掲げる「新3本の矢」の実現に向け、昨年前進したTPPや地方創生といった成長戦略の確実な遂行が必要です。その中で、我々関西も、国家戦略特区を活用したライフサイエンス分野等の成長産業の育成など、強みを生かした具体的なアクションを重ねることにより、地域経済をしっかりとした成長軌道に乗せていければと思います。
 
 岡田局長は、関西経済について、どのようにご覧になっていますか。
 
岡田  内閣府が発表しております、昨年10月の月例経済報告を見ますと、平成26年4月以降、継続して「景気は緩やかな回復基調が続いている」とされており、昨年9月に近畿財務局が発表した法人企業景気予測調査における先行き見通しでも全産業の景況判断は「上昇」超となっております。昨年9月に国土交通省から発表された基準地価におきましては、商業地における伸び率で大阪府が全国1位となるなど、中国経済の減速など不安要素もありますが、関西経済も回復基調にあると感じております。
 また、経済情勢をリアルタイムに表しているものではありませんが、昨年9月に国税庁が発表した民間給与実態統計調査結果によりますと、平成26年の平均給与は415万円(前年比+0・3%)と2年連続増加しておりますし、一年を通じて勤務した給与所得者数も、前年比2・4%増の4756万人と、こちらも2年連続過去最多を更新し、雇用も着実に改善しているのではないかと思います。
 更に、平成26年度の近畿2府4県の国税収納済額は約8・3兆円で、前年度に比べ約8703億円(前年比+11・7%)増加し、3年連続の増加となっておりますので、税収面からも関西経済が回復基調にあることがうかがえるのではないかと思います。
 各種報道によりますと、近年の円安や中国・東南アジア諸国に対するビザの発給要件緩和に加え、平成26年10月から消費税の免税対象物品の範囲が化粧品や薬品等の消耗品まで拡大し、輸出物品販売場数が大きく増加したこともあり、昨年9月末時点で、訪日外国人によるインバウンド消費は2兆5967億円、訪日外国人数は1448万人と、いずれも過去最高だった平成26年を既に上回っております。
 また、昨年11月には、大阪府吹田市の万博記念公園内に西日本最大級の大型複合施設「EXPO CITY」が開業し、隣接する市立吹田サッカースタジアム(昨年10月完成)とともに、関西経済への経済効果の波及が期待されるところです。
 私個人としての見解ではありますが、このように、明るい話題が増えてきている中で、今後、関西経済が更に発展していくためには、引き続きインバウンド消費をうまく取り込むこともポイントになると思いますが、やはり、関西経済の強みは、世界トップクラスの技術を持つ中小企業が数多く存在すること、大学や研究機関など企業の技術開発を支える最先端施設が集積していること、そして何より、関西は伝統的に自由闊達で創造性に富み、新しい物事に取り組むという進取の気質があることだと思います。今後も、その高いポテンシャルを余すことなく発揮し、様々なイノベーションを創出していただき、関西を起点として日本経済が盛り上がっていくことを期待しております。
 
2 社会経済情勢の変化と税務行政の対応
 ありがとうございます。次に税務行政について、局長にお伺いいたします。我が国の経済社会の状況は、経済のグローバル化、情報技術の発展、人口減少や少子高齢化、地域格差の拡大などの大きな構造変化の中にあります。
 このような状況の中において、変化する社会経済情勢への対応を常に求められる税の執行官庁として、どのような施策・取組をされておられるのでしょうか。
 
岡田  税務行政を取り巻く環境は、厳しい定員・予算事情の下、税務行政の更なる効率化に対する要請が高まるとともに、一方で、経済のグローバル化によるクロスボーダー取引の増加や電子商取引の急速な拡大などにより、調査・徴収事務の複雑化・困難化が一層加速するなど厳しい状況にあります。
 このような状況の中で、私どもとしましては、適正・公平な税務行政を推進するため、不正に税金の負担を逃れようとする悪質な納税者に対しては、様々な角度から情報の分析を行い、組織力を最大限に活かした厳正な調査を実施することとしております。
 一方で、実地調査以外にも、納税者の皆様の自発的な適正申告を確保するため、納税者の申告前の自己点検の支援や、書面でのお尋ねなどによる申告についての自主的見直しの呼び掛けといった取組を進めるなど、事案に応じたメリハリのある効果的・効率的な事務運営を心掛けております。
 また、昨年10月からは、一層の事務の効率化を目的として、小規模な税務署(対象署)の窓口業務以外の内部事務を中心署において集中的に処理する「内部事務集中化」の試行及び徴収事務の一層の効率化・高度化の観点から、小規模な税務署を対象として、近隣の比較的大きな税務署において滞納整理事務を集中的に処理する「滞納整理事務集中化」の試行を加古川署(中心署)と三木署(対象署)の間で行っております。
 更に、移動時間の効率化の観点から、小規模な税務署を対象として、管内の遠隔地の納税者宅などにおける調査や徴収事務を行う際に、近隣の他の納税者などへの簡易な徴収や調査事務を併せて行う施策にも取り組んでおります。
 さて、間もなく確定申告期を迎えることとなりますが、本年におきましても、納税者利便の向上や事務の効率化の観点から、引き続き、e─Taxや国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」など、自宅等からのICTを活用した申告・納税を推進しております。
 本年1月からは、「確定申告書等作成コーナー」の中に給与・公的年金所得者向けの簡易な申告書作成画面を新たに設け、更に使いやすいものとなっておりますので、引き続き、積極的に利用していただきますとともに、従業員の方々への周知・広報にも御理解と御協力をいただきますようお願いいたします。
 また、毎年、確定申告の時期には、多くの納税者が申告相談等のために来署されますが、税務署内では十分なスペースが確保できないため、申告会場が非常に混雑し、長時間お待ちいただいている状況です。
 そこで、平成27年分確定申告の時期には、京都・大阪市内の一部の税務署について、税務署内ではなく、交通の便がよく広い場所に合同で申告会場を開設することとしております。

 
 尾崎会長、納税協会会長として、税務行政に対する要望がありましたら、お願いします。
 
尾崎  我が国は、政府債務残高が世界の主要国の中でも突出しており、国債に対する信認が低下し、金利の急騰や急激な円安の進行といったリスクを抱えた状態にあると言えます。これを回避し、今後も持続的な経済成長を遂げるためには、何よりも財政再建が不可欠です。財政再建の実現のためには、社会保障改革などの歳出削減に取り組むことが必要ですが、加えて、国や地方自治体の安定的な税収の確保も重要であります。申すまでもありませんが、税は社会の根幹を為すものです。私どもが毎年提出している「税制改正要望書」にも記載しておりますが、政府には経済成長と財政再建の両立を目指した税制改革を進めていただきたいと思います。併せて、大阪国税局様をはじめ、税務当局におかれましては、引き続き税務行政の「公平」かつ「適正」な運用をお願いいたします。
 また、今年より、「社会保障・税番号制度」いわゆる「マイナンバー制度」が導入されます。企業へのサポート体制の整備や周知活動を行うなど、制度の導入が円滑に行われますよう、ご尽力いただきたいと思います。特にマイナンバーの取扱いには十分な注意が必要です。情報セキュリティ上のリスクに対して、私ども民間企業はもちろん、政府、税務当局におかれましても万全の対策を講じていただきたいと思います。実際に運用していく中で、納税者の意見にも耳を傾けていただき、利便性、運用面で問題がないか確認の上、見つかった課題に対しては、適宜、改善につなげていただくことをお願いいたします。
 
3 納税協会の活動について
 納税協会では、税の啓蒙活動や相談業務を通じて、地域に根ざした活動を展開しており、会員をはじめ納税者の方々に対しては、きめ細かな対応をすることで、より良いサービスの提供に努めています。次代を担う青年部会の活動にも力を入れており、納税協会連合会青年部会連絡協議会を中核として更なる活性化を図ることとしております。
 また、税に関する公益法人として、e─Tax利用推進運動、租税教育、マイナンバー制度の周知・広報など公益目的事業の推進にも積極的に取り組むこととしています。
 尾崎会長、新たな年を迎えて、納税協会及び連合会の今後の活動について、どのようにお考えでしょうか。
 
尾崎  今年は納税協会連合会が設立して70周年の節目の年に当たります。70年という長い歳月を振り返りますと、戦後の混乱期から日本社会が発展していく過程で社会、経済システムは大きく変化しました。しかし、そうした大きな環境変化を経験しながらも、納税協会並びに納税協会連合会が「健全な納税者の団体」として発展を続けてこられましたのは、「適正な申告納税の推進と納税道義の高揚を図り、企業及び地域社会の発展に貢献する」という納税協会指針に定める基本理念に則り、地道な活動を積み重ねてきたからにほかなりません。
 例えば、私ども納税協会が継続的に取り組んでいる活動の一つに、e─Taxの利用促進を目指した研修会や広報活動がありますが、ここ数年、e─Taxの利用率は着実に高まっており、目に見える形で活動の成果が出てきております。
 また、昨年から、「マイナンバー制度」の周知・広報活動の取組も始めました。「マイナンバー制度」の導入に伴い、企業は源泉徴収や法定調書に関する事務手続のため、従業員のマイナンバーを収集し、安全に管理を行う体制を整える必要があります。私ども納税協会といたしましては、引き続き、ポスターやホームページ掲載による周知活動のほか、説明会・研修会を開催することで、「マイナンバー制度」への理解が進み、制度が適切に運用されるよう取り組んでまいりたいと思います。
 最後になりますが、私ども納税協会連合会が70年という節目を迎えることができましたのも、会員の皆様、並びに大阪国税局・税務署の皆様の御協力があってのことです。社会がますます不透明性、不確実性を増していく中ではありますが、私ども納税協会といたしましては、新しい時代の要請に応えながらも原点を忘れず、会員の皆様、並びに地域の方々のお役に立つため、地に足の着いた活動を行ってまいります。引き続き御支援をお願いいたします。
 
 岡田局長、納税協会に対する御意見、御提言等がございましたら、お聞かせください。
 
岡田  納税協会は、個人・法人を問わず、様々な業種の方が加入されている全国にも例を見ない納税者の皆様の団体であり、70年にわたる長い歴史の中で、堅固な組織を確立し、「社会保障・税番号制度」など税に関連した各種説明会の開催をはじめ、e─Taxの利用拡大、租税教室への講師派遣といった各種活動に積極的に取り組んでいただいております。
 こういった各種事業活動に尽力しておられる納税協会は、「納税者の自発的な納税義務の履行を適正かつ円滑に実現すること」を使命とする私どもにとりまして、大変心強い存在であります。
 特に、納税協会の部会の中でも青年部会は、各種研修会 や講演会の開催など、積極的に事業活動を行っていただいており、昨年11月に行われた「青年の集い淡路・播磨大会」には私も参加させていただき、多くの方々とお話しさせていただきましたが、皆様の企業や地域社会の発展に対する並々ならぬ熱意を感じ、大変心強く感じた次第です。
 今後も、納税協会の次代を担う青年部会らしく、柔軟な発想で魅力ある事業活動に取り組まれ、組織をけん引していかれることを期待しております。
 私どもとしましても、納税協会の皆様とは、講演会や説明会といった事業活動を通じて、税務行政の良き理解者、良きパートナーとして、これまで以上により良い連携・協調関係を築いていきたいと考えておりますので、納税協会の皆様におかれましては、本年もより一層の御支援・御協力をお願いするとともに、今後とも、公益社団法人として、公益性の高い事業活動を活発に展開され、地域社会の発展に貢献されますことを期待しております。
 
4 雑感
 新春ですので、今年の抱負などをお聞きしたいと思います。局長は、今年はどのような年にしたいとお考えですか。

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岡田  私どもの使命は「納税者の自発的な納税義務の履行を適正かつ円滑に実現する」ことであり、この使命を果たすためには、国民の皆様の税務行政に対する理解と信頼が不可欠であります。
 昨年も申し上げましたが、納税者の皆様の信頼を自ら崩すことのないよう、引き続きしっかりと職員に呼び掛けていきたいと考えております。
 また、「社会保障・税番号制度」については、個人番号・法人番号ともに、国民の皆様への通知は昨年内に終わり、税務関係書類では今年1月から早速、「平成28年分の給与所得の扶養控除等申告書」などにマイナンバーを記載していただくことになります。
 尾崎会長からもお話がありましたが、私どもとしましても、情報セキュリティ対策には万全を期した上で、当該制度の円滑な導入に向け、引き続き周知・広報を行っていきたいと考えております。
 さて、今年の干支は「申(さる)」ですが、「申」は「|」と「日」に分けられ、これは人の体の背骨と左右の肋骨を表す象形文字で、「伸びる」の意味があり、物事がぐんぐん成長していくことを表しているそうです。
 今年の関西経済がますます成長し、そして納税協会の事業活動もより一層活性化され、新たな進展を遂げる意義のある一年になることを願っております。
 
 尾崎会長は、どのような年にしたいとお思いですか。
 
尾崎  昨年、数年にわたる交渉の末、環太平洋経済連携協定、TPPが大筋合意に至り、順調にいけば、今年中にも発効する見通しです。
 TPPが発効すれば、世界最大の経済圏が誕生し、国境を越えた貿易や投資が活発化いたします。日本企業の海外での事業展開がしやすくなるなど国際的なビジネス環境が改善することで、ここ関西に集積する中小モノづくり企業にとっても大いにチャンスが広がるものと期待しております。
 今年、2016年は「丙申」の年に当たります。易学によれば、「丙申」の年は、「世の中の動きに勢いがつき、ますます成長・発展する年」となるそうです。TPPをはじめ、様々なビジネス環境の変化を成長のチャンスとし、日本及び関西の企業が一層元気になる、そのような年にしたいものです。私ども納税協会といたしましても、そうした企業を税務に関わる側面から御支援することを通じ、関西、ひいては日本経済の発展に微力ながら貢献してまいりたいと思います。
 
 本日はお忙しいところ、大変有意義なお話を伺うことができました。
 今年も、納税協会連合会は、納税協会とともに会員の皆様が加入して良かったと思っていただけるような、魅力ある事業活動ができるよう努力してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 本当にありがとうございました。
 

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